はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する花輪陽子氏がお答えします。

夫婦ともに30代で、保育園児の子供が1人います。共働きで、夫は安定した大企業の会社員、私は若干不安定な外資勤めです。そろそろ第2子も考えたいと思っていますが、全体的にお金を使いすぎのような気がしています。また投資ができていないのが心配です。家は賃貸で、車も持っていません。毎月の支出内訳は以下の通りです。

・家賃:21万円
・光熱費:1.5万円
・保育園:7.5万円
・家事代行やシッターさん:8万円
・お小遣い(夫婦合わせて):20万円
・帰省費用(月でならして):2万円弱
・レンタカー:1万円
・外食:平均7万円
・他雑費:5万円ほど

お小遣いは、飲み会代も含まれており、特に夫分は減らせない状況です。毎月まあまあ貯蓄に回せているのと、ボーナス(月収とは別)をほぼ丸々預金できているのでよいでしょうか。

また、夫婦の共有財産が円預金ばかりです。今、普通預金が2,300万円、定期が300万円、米外貨が300万円分くらいあります。NISAを使って国内株に半年ほど投資したのですが、少し上がったところで怖くなり利益確定してしまいました。それ以外の投資らしきものは、米国個別株が150万円分だけです。

円預金に資産が偏っている気がして、どうにかしたいのですが、今買うべきかタイミングかよくわかりません。いつ投資を始めたらよいでしょうか。当面はNISAで外国株中心にコツコツ投資しようと思うのですが、いかがでしょうか。円で給与をもらっていますし、資産は円以外にしておきたい気がしています。

〈相談者プロフィール〉
・女性、36歳、既婚、子供1人
・職業:会社員
・住んでいる地域:東京都
・手取りの世帯月収:115万円
・毎月の支出目安:75万円


花輪: 夫婦共働きで高収入、素晴らしいです。ご自覚しているように支出は高めです。

支出が多いと、老後資金もその分多く準備が必要に

手取り月収の1/3程度と黒字額が大きいのでライフスタイルが変わらない間は良いですが、月の支出が多いと老後資金などもその分たくさん準備をする必要が出てきます。

ちなみに、総務省の家計調査(2017)によると、年間収入5分位階級(※)の第5階級の世帯では、1世帯当たりの1ヶ月平均実収入は86万3,267円、消費支出は44万2,086円で、黒字額は42万1,181円です。

※年間収入5分位階級とは世帯を年収の低い方から順番に並べ、それを調整集計世帯により5等分する分類。年収の低い方から第1、第2、第3、第4、第5階級といいます。

高収入、高支出の家計の場合、ライフスタイルが変わるというリスクにも備えて、手取り月収の1/4〜1/3は貯金に回したいですね。通信費や光熱・水道費などの基礎生活費は収入に応じて大きく変わることが少ないために、高収入の場合は基礎生活費の割合を一般に低くでき、貯金の割合を高めることが可能です。

高収入世帯で膨らみがちな高級車の維持費

毎月の支出内訳を把握し、住居費、交通費などを合理化できているのが良いですね。住居費はどんなに多くても、手取り月収の1/3以下で、1/4以下だと理想的です。

また、高収入家庭でやりがちなのが高級車の保有です。膨らみがちな車両維持費ですが、レンタカーにしているので交通費を合理化できています。

注意したいところが育児費用にお金がかかっていることです。保育園に7.5万円、家事代行やシッターさんに8万円で計15.5万円かかっています。

今後、習い事や小1の壁などでより学童やシッターなどにお金がかかるかもしれません。子供の学校の進路も私立やインターだと高額になります。教育費はできれば手取り月収の15%程度に止めるのが理想的です。

投資は目的を考えた上で始めよう

投資をする前になぜ投資が必要なのか、目標額はどれくらいなのか、その目的をしっかりと考えるようにしましょう。

たとえば、現在は支出額が75万円です。保育費等を引いても約60万円です。老後必要な生活費の目安は現役時代の7割程度を目安にしますが、月60万円の支出と計算をしても7割で42万円必要になります。

もらえる年金額は年金ネットでシミュレーションができるのでぜひ計算をしてみてください。

仮に夫婦でもらえる年金額が月36万円だとすると、月6万円(年72万円)の赤字になります。65歳から90歳までの25年間で生活費だけで1,800万円必要なことが分かります。生活費に加えて、介護や医療費などの予備費が最低でも1,000万円程度必要になります。

このように計算をしてみると、相談者の場合、ものすごくリスクを取らなくても、貯蓄などで老後資金を作っていけることがわかると思います。もちろん、つみたてNISAなどで外国株式にチャレンジしてみても良いでしょう。しかし、減らさないようにリスクを限定して行うようにしましょう。

この記事の感想を教えてください。