はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

家計簿を付け出して約1年近く経ちます。毎日レシートを撮影して記録しているだけで、ムダ遣いが多少減った気がするのですが、いまだになんとなく浪費してしまい、お金が貯まらない気がしています。そこで、食費や交遊費など、カテゴリーごとに支出を見直そうと思ってマネーフォワードを開いたのですが、どう分析して、どう普段の生活に反映させたらいいのかピンときません。家計簿を分析する際のヒントをいただけないでしょうか。
(男性、30代、独身)


花輪: 家計簿は自分のお金を映し出す鏡やメディアだと思ってみてはいかがでしょうか。たとえば、缶コーヒーを1つ買ったとしても、家計簿にはその記録が残ります。その当時の自分の懐具合、精神状態などを表す鏡になるのです。

家計簿はFPにとって“患者のカルテ”

かくいう私も過去の自分の支出を振り返ると、独身時代は洋服や美容費など自分にかけるお金が多く、結婚後は食費や旅費など家族のためにかけるお金が増えていったと気がつかされます。記録を後から振り返ることにより、自分の支出が少しずつ改善されていく成長記としても活用することができます。

また、保険相談や住宅ローンの相談などで専門家にアドバイスをもらう際にも、家計簿は非常に有効です。私も職業柄、さまざまな家庭の家計簿を見せてもらい、老後設計などのアドバイスをしています。家計簿を見れば、家族の人数の割には食費が高いので節約によって支出を減らせるなど、指南がすぐにわいてきます。

ドクターにとっての患者のカルテのように、お金のドクターのファイナンシャルプランナーからすると、家計簿は貴重な家計データになります。お金の専門家に相談に行く際には、家計簿を持っていくと話がとてもスムーズに進み、より多くの実践的なアドバイスを受けることができるはずです。

逆に、家計簿をつけていない人はつけている人と比べて、具体的なアドバイスの数が減ってしまう可能性もあります。せっかくお金を払っているのにもったいないことです。

家計簿を活用させるには「平均を知ること」

家計簿をつけるだけにとどめずに活用させるには、まず、自分の家計簿のデータと平均値を比較して節約項目を絞り込みましょう。

1ヵ月分の家計簿をつけたら、支出項目ごとの集計(食費5万円、生活用品1万円など)に注目してみましょう。そして、総務省の家計調査の平均と自分の家計簿とを比べてみるのです。

たとえば、ほぼ同人数の家庭の食費の平均が6万円だったのに対して、現在の数字が9万円なら、理想と比べて3万円オーバーしているということになります。まずは理想とのギャップを感じ、どの支出をどれくらい削ればよいのか(あるいは増やせばよいのか)、目安を知ることが改善の第一歩となります。

次に、食費が多いと分かっている家庭の場合は食費の内訳を見ていきましょう。たとえば、食費を自炊、外食、嗜好品、飲料、交際など、5つにグルーピングして記録をする方がより具体的な改善策が見えてきます。グループごとの支出を平均と比較することができるからです。

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