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2018.06.24

まるで鯛、なのに半額!イオン発「ティラピア」の実力

価格の秘密は“調達”にあり

まるで鯛、なのに半額!イオン発「ティラピア」の実力

白身の魚を食べたいけれど、値段が高い……。スーパーなどの店頭で、そう考えて買うのをためらった経験はないでしょうか。しかし、この魚の登場によって、そんな迷いはなくなるかもしれません。

流通大手のイオンは5月30日から「ティラピア」という白身魚の取り扱いを始めました。別名は「いずみ鯛」「ちか鯛」で、食感や味がマダイに似ているのが特徴。それでいて、価格はマダイのほぼ半額なのです。

割安な価格の秘密はどこにあるのでしょうか。そして、このタイミングで取り扱いを始めたイオンの狙いは何なのでしょうか。


特売日にはマダイの半値に

5月30日から全国のイオン、イオンスタイル、マックスバリュなど約1,300店舗で販売されている「asc認証 いずみ鯛(ティラピア)」。名前に“鯛”がついているので「鯛の仲間かな?」と思う方が多いかもしれませんが、スズキ目カワスズメ科の淡水魚です。

身がマダイと似た白身で、プリっとした食感と淡泊な味わいが特徴です。臭みも少なく、世界中で広く食用として親しまれています。世界的には「ナイルティラピア」とも呼ばれており、エジプトから台湾にかけての亜熱帯地域に生息する、とても繁殖力の強い魚です。

その最大の魅力は、他の白身魚に比べて割安な価格。100グラム当たり298円(税抜き)と、カンパチ(同798円)やマダイ(同498円)に比べると、かなり割安な設定になっています。特売日にはマダイの半値になることもあるといいます。

なぜこんな価格設定が可能だったのでしょうか。そこには、仕入れの秘密がありました。

台湾からの大量調達に秘密あり

ティラピアの養殖期間は1年から1年4ヵ月。他の養殖魚に比べると、成魚になるまでの期間が短いという特徴があります。なおかつ、他の魚は1キログラム育つのに同量以上のエサが必要なところ、ティラピアは1キログラム未満で育つため、エサの費用が安く済みます。

今回、イオンが取り扱いを始めたのは、台湾で養殖されたもの。実は台湾は養殖大国で、ティラピアのほかにもサバヒーという魚を多く養殖しています。ティラピアは低温に弱く高温に強い魚なので、暖かい気候の台湾は養殖に適しているわけです。

台湾は日本に近いため、輸送コストは他のアジア諸国に比べて低く抑えることができます。また、イオングループ1,300店舗で取り扱うというスケールメリットを生かすことで、さらに調達コストを抑制しました。


台湾で内臓を取り除き、皮むきもすることで、魚をさばく人件費を削減

実はこのティラピア、20年ほど前にも日本で流通していたことがあります。しかし、当時の商品は身が生臭かったことがネックとなり、浸透することなく、市場から消えてしまいました。

当時、エサとして使っていたのは生の小魚。これを「企業秘密」(イオンリテールの松本金蔵・水産商品部長)のエサに変えたことで、これまでの問題を解消。クセがなく、刺身としてもおいしく食べられる品質を確保したといいます。

ムニエルやホイル焼きもオススメ

イオンは、このティラピアで年間8億円の売り上げを目標に掲げています。発売から1ヵ月近くが経過した現在も、売れ行きは好調だといいます。

魚の生食といえば、近年はアニサキスなどの寄生虫による食中毒が問題となっていますが、イオンが展開するトップバリュブランドで販売している「ごちそうサーモン」では、これまで一度も寄生虫が問題になったことはないそうです。「天然と比較すると、高確率でリスクを排除できています」(松本部長)。

刺身以外では、香草をつけてムニエルにしたり、キノコや野菜を入れたホイル焼きもオススメとのこと。カルパッチョやマリネなど野菜とあえて調理すれば、簡単に一品作ることもできるそうです。

中国をはじめとした新興国での魚食需要の増大によって、世界規模で水産資源の争奪戦が起きている昨今。これまであまり身近でなかった魚が食卓に上る機会が増えてきそうです。

(文:編集部 北村佳那)

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