はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は高山一恵氏がお答えします。

食費にかかる金額についてアドバイスをください。妻は週3回のパートで共稼ぎです。毎月、平均12~13万円の食費がかかっています。これは夫の昼食、飲み代を除いた金額です。特に高級な食材を利用している感覚はありません。ただ、共稼ぎのため、夕食に出来合いの食べ物が出される回数が多いかなという感覚です。私の感覚では平均的な食費に比べて高く、かなり無駄な出費が多いように思えます。妻に言っても、必要なものしか買っていないし無駄はないとの回答です。食費以外の支出も多く、なんとか無駄な部分を削りたいと思っています。この家族構成で、この食費は平均的な金額の範囲でしょうか。


〈相談者プロフィール〉
・40代後半歳 既婚男性
・職業:会社員
・同居家族:妻、子供2人(高1男・中2女)


高山: ご質問ありがとうございます。一般的に共働き家庭の場合、食費が高めになることがありますが、毎月12〜13万円となると家計を圧迫しますね。

食品は1つ1つの単価はそれほど大きくないので、無駄遣いをしているという感覚がないまま、金額がかさみがちになる傾向があります。一般家庭の平均値を見つつ、食費の削減ポイントについてお話しします。

家族4人世帯の食費の平均はどれくらい?

ご相談者さんの年収がどれくらいなのかはっきりわからないので一概には言えませんが、一般家庭で1ヵ月の食費が12〜13万円というのはかかりすぎですね(笑)。

もちろん、家庭の状況により費用がかかる項目と費用がかからない項目は違うとは思いますが、「平均」を知ることで、使いすぎなのか、そうではないのか、判断する手がかりになると思いますので、データを使って見ていきましょう。
 
2015年に総務省が発表しているデータによると、単身世帯の食費の平均は約4万円、2人以上の世帯(家族4人)の食費の平均は約7万円程度。ちなみに、この金額には外食代と酒類も含まれています。単純に家庭でかかる食費だけの金額を見てみると、単身世帯は約2.6万円、2人以上の世帯(家族4人)は約5.6万円となります。
 
また、あくまでも今まで私がマネー相談に乗ってきた事例ですが、年収500〜600万円程度の家族4人世帯の食費も5万円〜6万円程度というところが多いようです。食費を家計割合からみると、手取り収入の15〜20%以内に収まっている家庭が多いというイメージでしょうか。

仮に食費を手取りの20%程度に収めるとすると、食費12万円というとことは、手取り月収は60万円程度ということになります。ご相談者さんの場合は、いかがでしょうか。

贅沢している感覚はないのに、食費がかさむのはなぜ?

家計を削減するためには、まず、どの項目にどれくらいお金を使っているのか、支出全体を「見える化」することが大切なのですが、今回のケースでは食費が突出しているようなので、食費を削減することを優先に考えましょう。

共働きなので、つい出来合いのお惣菜に頼ってしまうというのはわかります。お惣菜の値段も数百円程度のものが多いので特に贅沢をしているという感覚はないと思いますが、ちりも積もれば山となるで、回数を重ねればそれなりにまとまった金額になります。

また、共働きの場合、2人で稼いでいるという油断があるため、少し高めの値段のものでも、「まっいいか」となってしまう傾向があります。たとえば、300円のイチゴではなくて500円のイチゴ、150円の食パンではなくて300円の食パンという具合に、全体的に金額がかさんでしまいがちに。

ご相談者さんもおっしゃっているように、確かにこれくらいの金額だと贅沢している感覚もないので、なぜ食費がかさんでしまうのかわからないかもしれませんね。

本気で食費を削減したいなら…

本気で食費を削減しようと思ったら、レシートなどで日々の買い物を1つずつ確認し、「本当に必要だったものには◯」「買っても買わなくてもどちらでもよかったものには△」「買う必要がなかったものには×」をつけてみましょう。冷静になってみると、意外に△や×が多いということも少なくありません。

こうして無駄を見つけたら、前述の平均値を参考に食費の予算を決めましょう。予算を決めたら食費の分は「食費専用のお財布」を用意するか、「封筒」で管理することをおすすめします。予算の範囲内で収めようという意識が働くと、工夫して買い物をするようになるものです。

家計管理にも役立つネットスーパーを活用

スーパーで買い物をする際、値段を細かく計算せずに欲望のままに買い物カゴに入れてしまい、レジの精算時に初めて買い物金額を知って買いすぎた……と反省するというパターンになりがちだと思います。

そこで、検討したいのが「ネットスーパー」です。ネットスーパーは、インターネットを通じていつでもどこでも気軽に買い物をすることができる上に、買い物の最中にも注文履歴や購入料金を確認できるので、食費の予算をオーバーしていたら、注文を確定する前に不要な商品を削除して調整することができます。

イトーヨーカドー、イオン、SEIYUなど、さまざまなネットスーパーがありますが、サービス内容なども比べてみて、自分にとって使い勝手の良いところを選びましょう。

ネットスーパーを活用することで店舗に行く時間も削減できるので、忙しい共働き夫婦の方こそ検討してみる価値はあるでしょう。

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