はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は横山光昭氏がお答えします。

夫の単身赴任が始まってから、家計が赤字になりました。単身赴任手当が出て、一緒に暮らしている時よりも収入は増えているのですが、生活場所が2ヵ所に分かれ、夫が外食中心の暮らしになってしまったこともあり、食費が2倍近くかかっています。2ヵ所で重複してかかる費用が膨らんでいるように感じます。生活に必要な支出でもあるので、互いになかなか減らせずにいますが、支出を抑えるコツはあるのでしょうか。また、週末ごとに夫が家族に会いに帰ってくるので、その費用がかさんでいるように感じるのですが、夫は帰ってくることを楽しみにしているようで、控えてほしいとは言えません。

単身赴任の期間が終われば解決するのかなとも思うのですが、子どもの教育費も貯めていかなくてはいけないと思い、貯蓄しにくい状態でも少しは蓄えを増やしたいと思っています。それが無理でも、せめて赤字の状態を抜け出したいです。どのようにやりくりをしてくと良いでしょうか。

〈相談者プロフィール〉
・女性、34歳、既婚(夫:36歳・会社員)、子ども1人(3歳)
・職業:専業主婦
・手取りの世帯月収:38.3万円
・年間ボーナス:約2ヵ月分(評定による)×2回
・預貯金:160万円

【支出の内訳】
・住居費:妻6.8万円、夫1.5万円(社宅)
・食費:妻5.5万円、夫4.3万円
・日用品費:妻1万円、夫0.2万円
・水道光熱費:妻1.6万円、夫は家賃に含む
・通信費:妻1.2万円(格安スマホを使用)、夫は会社負担
・教育費:妻3.8万円
・交通費:妻0.2万円、夫5.5万円(帰宅費)
・交際費:妻1.5万円、夫2.3万円
・その他生活費:妻5万円、夫2万円
・支出合計:妻26.6万円、夫15.8万
・総支出額:42.4万円(-4.1万円赤字)


横山: ご相談ありがとうございます。食費など、住まいが2ヵ所に分かれると支出が多くなってしまう費目もありますが、奥さん側の生活スタイルをお子さんとの2人暮らしに変更できていないことが一因になっていると思います。

食費がかさむのは夫だけの責任ではない?

食費が2倍近くになっているということですが、ご主人が単身赴任になるにあたり、支出の仕方を変えた部分はあるのでしょうか。ご主人は自炊をほぼせず外食中心のようですが、支出が増えているのはご主人のせいだけではありません。

奥さん自身も、3歳のお子さんと2人暮らしとなった割に、食費がかかりすぎているように思えます。

食べる人数が減ったのに、食費として支出している金額が変わらないのであれば、外食が増えた、食材を無駄にすることが多くなった、もしくは食材の質にこだわるようになったなど、何かしら支出を削減できない理由ができてしまっているはずです。その原因について振り返って考えてみましょう。そこを改善できれば、食費は少し下げられるはずです。

また、ご主人が外食ばかりで支出が増えているということが気になるのでしたら、週末帰ってきたときに、日持ちのするお惣菜を作って持たせてはいかがでしょうか。奥さんとしては大変でしょうが、ご主人の健康管理にもつながりますし、ご主人も奥さんの手料理が食べられるとなると、励みになるはずです。無理のない範囲で試してみてください。支出削減だけではなく、家族のコミュニケーションにもつながるでしょう。

格安スマホに加えて無料通話でさらに節約

奥さんは、ご主人とは異なり、格安スマホを使っているんですよね。ですが、現在はご主人との通話で利用金額が跳ね上がっていて、ネット回線5,000円に加えて、スマホ利用料7,000円がかかっています。これでは格安スマホにせずに、同じキャリアのスマホを持って無料通話を利用しているのと同じことでしたね。

離れていても家族の交流は大切です。もし、スマホ代の削減をはかるなら、積極的にアプリの無料通話システムを利用して、お金をかけないようにしていきましょう。スカイプやフェイスタイムなど、顔の見える通話でもよいと思います。

意外と、ご夫婦それぞれが自分に都合のよいキャリアでスマホの契約をしていることがあります。そういう場合はあまり通話を利用しない環境であることが多いのですが、それにしても、私が思っているほど、このアプリの無料通話の利用が浸透していないと感じることがあり驚きます。

サービスが始まったばかりのころは音質が悪く、通話も心地よいものではなかったので、そのイメージがある人には仕方がないのかもしれませんが、今は随分と進化しています。積極的に活用して、通信費を下げることをおすすめします。

生活者の規模に合わせて生活費の縮小を

ご主人の帰宅にかかる交通費が気になっているということでしたが、ご主人は新幹線の利用だけではなく、時には深夜バスなどを使い、交通費をあまりかけないように工夫をしているとか。単身赴任手当が5万円弱ほどということですから、ご主人は一応その金額近くで収めようと頑張っているようです。ここは努力を認めてあげたいところですね。

奥さんが気にしている赤字の原因は、奥さんが使う生活費が、生活者の減少に合わず、今までの支出を変えられていないところにあると思います。

小さなお子さんを1人で育てている気持ちになることもあるでしょうから大変だとは思いますが、必要な分だけを意識して物を買いましょう。少しずつ削減していけると、他の支出も気になってくると思います。そうなれば、さらなる支出の削減も期待できます。習慣化できれば、ご主人が戻ってきたときにも、貯蓄しやすい家計管理が維持できることでしょう。

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