はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

生活には余裕があり、貯金もできているし、住宅ローンも終わっています。二人とも上場企業の会社員ですし、雇用もそこまで不安定ではないと思います。しかし、格安SIMにはしていませんし、習い事などの出費が月6万円、夫婦のお小遣いは1人5万円、車も外国車2台を保有していて、家計診断の記事でいう“メタボ家計”そのままだと思います。余裕があるなら、このままでよいのでしょうか。それとも改善すべきなのでしょうか。いつも悩んでいます。


〈相談者プロフィール〉
・女性、42歳、既婚(夫:会社員)、子ども1人(小学生)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:110万円
・毎月の支出目安:50万円
・総資産:4,000万円


花輪: 支出が多いというご認識ですが、収入に伴った支出であれば問題ないです。

現在、世帯での手取り月収が110万円で支出額が50万円ということなので、月収の半分程度の余裕資金があるということです。子どもの数も1人なので、教育費も1人分になるため、子どもの数が多い家庭よりも余裕があります。

貯金額も4,000万円ということですが、このままのペースで貯めていくことができれば、定年退職までに6,000万円程度貯めることも可能でしょう。退職金や企業年金も望めるのであれば、その分も資産として含めることができます。

将来のお金を視覚化して安心を得る

老後資金はいくら貯めればいいのでしょうか。

現在、子どもを含む3人での支出が50万円ということで、老後の夫婦の生活費を7割の35万円と仮定しましょう。65歳から100歳までの35年間で、1億4,700万円必要ということになります。

この支出を公的年金、退職金、企業年金、貯金などで賄うことができれば、老後の生活費を確保することができます。それぞれの公的年金額をねんきん定期便やねんきんネットなどで確認をし、退職金や企業年金の目安も確認をするとよいでしょう。

将来のお金を視覚化させることができれば、安心することができます。

支出が高いと、老後資金の確保が大変に

平均的な老夫婦の1ヵ月の生活費は28万円程度なので、支出が高いと老後の生活費の確保はそれだけ大変になります。28万円と35万円では、35年間で必要な生活費が2,940万円も変わるからです。

その分多く貯金を残せれば問題はないので、早期から準備をすることが大切です。老後のインカムを若い頃から作っておくことで、将来の購買力を維持させることができます。

また、子どもが独立をしたら、ラストスパートでお金を貯めるのも手です。学費がかからなくなるので、その分を老後のお金に回すことができるからです。

定年退職後はダウンサイジングを

「格安SIMにしていない」「習い事などの出費が月6万円」「夫婦のお小遣いは1人5万円」「外国車2台を保有」、家計診断の記事でいう“メタボ家計”そのものということですが、現在に関していえば、そのままでも大丈夫ですが、定年退職をした後はもう少しダウンサイジングさせるのも手でしょう。

また老生活に入ると、次第に消費が抑制される効果もあります。利用していないのに支払っている年会費など、明らかに無駄なものだけを見直したり、家計管理サービスで支出をチェックしたり、できる範囲で倹約を行い、仕事に精を出したり、運用を考えたりするのでよいと思います。

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