はじめに

子供の結婚を心配する親がトラブルに巻き込まれるケースが相次ぎ、国民生活センターが注意を呼びかけています。

そうしたトラブルを避けるために、親は未婚の子供に対して、どういった心構えでいればいいのか。婚活のプロにお話を聞きました。


親心につけこんだ婚活トラブル増加

生涯未婚率が上昇し、晩婚化が進むなか、大切な子供のために親が婚活をする『代理婚活』をはじめ、子供の未婚を心配する親を対象とした多種多様なサービスが提供されています。

そんななか、結婚相手紹介サービスについての相談のなかで、親が関与してトラブルに巻き込まれるケースが相次いでいると、国民生活センターが注意を呼びかけいています。

なかでも電話での勧誘や、家庭への訪問によって契約させる業者とのトラブルの割合が年々増加。

事例のなかには、「子供が結婚しないのは親の責任」と不安をあおられて契約を迫られたり、「子供に話すと反対するから内緒にするように」と当事者の子供にきちんと説明しないまま契約したことでトラブルにつながっているケースがあるといいます。

34歳以降になると増える、親の資料請求

子供の結婚を心配するあまり、親が内緒で結婚相談所に問い合わせをする件数は増えているのでしょうか。婚活支援サービスを運営するパートナーエージェントの営業企画部長の津村さんにお話を聞きました。

「ここ数年で極端に増えているといったことはございません。微増レベルです。ただ、親御様が目にする媒体、たとえば新聞などで広告を出した場合はお問い合わせが通常の約2倍になります」

問い合わせをした親から寄せられる相談のおよそ7割が「結婚についてどのように話してよいかわからない」「話をすると機嫌が悪くなるので切り出せない……」といった内容だそう。

そろって相談に訪れる親子も多く、最近では「28歳以下のお子様と親御様とのご来店が増えています」と津村さん。34歳以降になると、親が資料請求をし、その後、本人がひとりで来店するケースも多いといいます。

それでは、親が子供に内緒にしたまま婚活を始めることはできるのでしょうか。

「当社では、親御様のみで来店し、契約することはできません。理由としては、本人の主体性がなく、受動的かつ他力本願では、結果(成婚)を出すことは難しいと考えているためです。ご入会いただく前に、婚活の心構えなどもお話したうえで、ご入会の意思を確認します」と津村さん。

心配する親と、心配されたくない子供

婚活はあくまでも本人自ら動くもの。同社では、たとえ親であっても子供の婚活状況を知ることはできないそうです。

「当社から親御様に、お子様のご活動内容をお伝えすることはなく、またご依頼がありましても守秘義務がありますのでお断りしています。婚活はご本人主体の活動であり、それを教えることは個人情報漏洩に抵触するからです」

とはいえ、子供のために親として何かできることはないのでしょうか。どんな気持ちで子供の婚活を見守ったらよいのか、津村さんは次のように話します。

「『結婚』とはライフイベントのなかで、本人が意思を持って選択できる権利です。それを親御様がしっかりと理解しなければなりません。親離れ・子離れを実現することで、お子様の尊厳を守ることにつながるのではないでしょうか」

一方、子供の方も日頃からコミュニケーションを取り、自分の将来をどう考え、どうしたいかをしっかり伝えることが大切だそう。

「心配する親と、心配されたくない子供。双方の思いを伝え合う対話を試みてください。その際には、たとえ家族であっても感謝の気持ちを伝えることが大事です」(津村さん)

関係が近いほど話題にしにくいデリケートな話ですが、普段のコミュニケーションがしっかりしていれば、未然に防げるトラブルといえそうです。

(文:編集部 土屋舞)

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