はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

現在実家住まいで、家には月3万円入れています。親は定年退職しましたが、今までの貯金と年金で生活しています。
・職業:会社員
・居住形態:親の家で同居
・住んでいる地域:愛知県
・手取りの月収:17万円
・毎月の支出目安:5万円

美容院の受付をしていますが給料アップが見込めません。お付き合いしている人と40歳までには結婚したいと考えていますが、自動車の整備士をしており日々腰痛に悩まされ、定年まで働くのは難しいのではないかと考えています。現在私の貯金が1300万円程ありますが、将来のことを考えると、全然足りないのではと思っています。
40歳までには結婚したいが、相手も私も低収入で、相手もいつまで働けるかわからない。今年結婚した場合、どのぐらいの家賃のところに住んで、月々いくらで生活するのがいいのか教えて欲しい。
(35歳 未婚 女性)


花輪: ご質問ありがとうございます。

夫婦で年収400万円あれば、地方で子供を育てて暮らせる

パートナーの方も同程度の収入だと仮定すると、二人合わせて年収400万円程度ですね。地方に住んでいる場合、夫婦で年収400万円あれば、子供二人を育てていくことも可能です。物価の高い東京など都心の場合は世帯年収600万円程度をおすすめしています。

なぜそれだけの年収が必要なのかというと、子供の教育費と養育費がかかるからです。子供一人当たりにかかる幼稚園から大学までの学校費用と学校外費用は、オール公立の場合で880万円、小学校以外私立の場合で1634万円、オール私立の場合で2258万円(文部科学省「データから見る日本の教育2008」)、養育費として約722万円必要というデータがあります(国民生活白書2005年)。

これらのお金は一気にかかるわけではありませんが、大学資金(私立大学の場合で約400万円前後)だけは計画的に貯めておきたいところです。児童手当(満額もらえる場合はひとり当たりの総額約200万円)に加えて、子供の一人当たり月1万円(18年間で約200万円)を貯金などで準備する必要があります。

家賃は手取り月収の1/3まで

まず家賃ですが、毎月必ずかかる大きな固定費になります。家賃はどんなに多くても手取り月収の1/3程度に留めたいものです。仮に二人の手取りが34万円なら、11万円程度までということです。

地方の場合、ファミリータイプの物件でも10万円以内で十分に探すことはできるでしょう。出産を考えていて、出産後しばらく仕事をお休みするという場合は夫一人の収入でもやりくりできるだけの家賃に留めおく方がよいでしょう。夫婦のみ、子供が小さい頃は広い間取りは必要ないですし、自動車があるのであれば駅から遠い物件も選択肢に入れて家賃を大幅に抑えるのも一つです。

また、人生には貯め時があって、独身時代、夫婦共働きの時代、子供が独立した後は貯金をしやすい時期になります。今は第一回目の貯め時。結婚後も夫婦の手取り月収の25〜30%程度貯めていけると良いですね。月10万円貯める場合、その分はないものとして残りの24万円で生活をしましょう。

仮に家賃(管理費なども込み)が10万円なら14万円でその他の支出をやりくりすることになります。実家暮らしのときとは違って、光熱費や通信費など、すべての支出を自分たちで支払うことになります。家計簿をつけてしっかり管理しましょう。例えば、モデルケースとして下記のような支出の割合を提案させていただきます。もちろん、予算の範囲内であればどのように配分していただいても構いません。

  • 住宅 10万円
  • 通信費 2万円
  • 光熱費 2万円
  • 交通費(ガソリン代、保険代など) 2万円
  • 保険 5000円
  • 食費 4万円
  • 日用品 5000円
  • 衣服・美容 1万円
  • 趣味・娯楽 1万円
  • 交際費 1万円
  • 貯金 10万円

家計簿をつけて管理しよう

家計簿で気をつけたい支出は毎月定額でかかる固定費や通信費など通話料などによって変動するものの月額料金は決まっている固定費の要素が高い支出です。一度契約をしたら容易に変えられないために契約時に比較検討をして支出が膨らみすぎないように注意をしましょう。

食費、日用品、衣服・美容 、趣味・娯楽 、交際費などは変動費のために毎月金額が変わりやすいです。特に食費は多くの家庭にとって手取り月収の20%前後の大きな支出になります。レシートをもらって写真で取り込み、家計簿に落とし込む等の管理が重要です。スーパーに行く都度、予算を決めておくのも良いですね。週2回、スーパーに行くなら、一度に5,000円までなどと決めましょう。

子供ができたら子供費がかかるようになります。その場合、貯金のペースをスローダウンさせて子供費に回しましょう。赤ちゃんの間は主にミルク代とオムツ代などなので、月1万円程度ですが、保育園や幼稚園を利用する場合は収入や施設にもよりますが月3万円前後の支出がかかります。

結婚をして、出産をするのか、その場合、働き続けることは可能か。大きなライフプランを二人で話し合っておくことは大切です。相談者の場合、今までの貯金があるために、子供が小さくて働けない間は貯金を利用するのも一つです。ただし、二人の老後資金も必要なために貯金を当てにし過ぎないことが大切です。

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