はじめに

身内や自分の不幸はあってほしくないもの。だから、いつかは自分の身にも降りかかることがわかっていても、前もって考えておこうという人はあまり多くないようです。

しかし、いざというときに慌てなくてすむように、相続についての基礎知識を持っておくことはとても大切です。相続の基礎知識があれば、家族間でのトラブルの回避にもなるかもしれません。


私の財産、誰が受け継ぐ? 相続人と相続順位

相続人になるのは家族だということは誰もがわかりますが、でも家族って?被相続人が独身か結婚しているか、子どもはいるか、父母は、兄弟姉妹は——。

最近では離婚や再婚も珍しくなく、非摘出子や養子縁組など血縁関係のない子どももいるなど、家族環境や生活形態は人それぞれ。まずは誰が財産を受け継ぐことになるのかを知っておきましょう。

民法では法定相続人の範囲および法定相続分が定められており、被相続人の家族構成および関係で相続する権利の順位が定められています。ちなみに「配偶者」は常に相続人。最も優先順位が高いのです。ただし、法律上の婚姻関係になくてはならず、事実婚では相続の権利はありません。

配偶者以下の相続の優先順位をみると、第一順位は子・孫・ひ孫などの「直系卑属」。認知されている非摘出子や養子縁組をした連れ子なども実子と同等の権利を持ちます。そして第二順位は、父母・祖父母などの「直系尊属」、そして第三順位が「兄弟姉妹」となります。

相続が発生するとやるべきことがたくさん

死亡届や死体火葬許可申請、住民票抹消届など、人が死亡するとさまざまな役所での手続きや公的保険、公的資格関係の手続きが発生します。故人がビジネスパーソンなら公的保険の埋葬料補助金等の請求や遺族年金の請求などがありますし、リタイアしたシニアなら年金受給の停止などがあります。入院中の死亡なら高額療養費の請求などもあるでしょう。

預貯金や不動産、自動車、株式などの財産に関しては、財産所有権の移転に伴う手続き、つまり相続手続きが必要です。多くの場合は相続人の間で了承が得られている旨の証明が必要で、そのために遺産分割協議書や相続人全員の同意書、印鑑証明等々の書類提出を求められます。

他にもクレジットカードや携帯電話の解約、インターネット・プロバイダの解約あるいは名義変更、電気・ガス・水道など公共料金の停止や名義変更などもあります。多様な財産や契約の内容を把握するだけでも大変な作業です。預貯金口座や保険契約、各種契約などを普段から一覧表にしておくといいかもしれませんね。

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