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2017.10.7

“不服でも払うべき”給付だけじゃない、年金のメリット

FPの家計相談シリーズ

“不服でも払うべき”給付だけじゃない、年金のメリット

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。


自営業者です。年金の支給開始を個人の選択で75歳まで遅らせる検討をしているというニュースを見ました。年金をどう考えるべきか、ご意見をお聞かせいただけないでしょうか。単純に、自営業者の損得についてだけでも構いません。個人的には、自己責任のもと年金を払わずに個人で運用する方法でもよいのではと考えたくなってしまうのですが。
(30代前半 独身 男性)

野瀬:選択制で年金支給を75歳にするという案は、今後導入される可能性があります。

支給年齢が75歳超になったら割に合わない?

この場合、よく誤解されていることですが、75歳までの分は「もらえない」ということではありません。75歳からの支給を選択した場合、毎月の支給額が増えるので、トータルで見れば損をしないようにできています。

ただし「トータルで考える」ことができるのは、その年まで生きながらえた場合だけです。先の75歳からの例ですと、厚労省の試算では87歳まで生きなければ「もとがとれない」計算になります。ストレートにいいますと「死ねばもらえない」ので、その分は損になります。

特に男性の場合、平均寿命が80.98歳であることを考えても、この選択は「割に合わない」ということになります。

また、この75歳からの支給を選んだ場合は、いわゆる「加給年金」がもらえない可能性があります。まだ、実際にはない法律なので、確認が必要になりますが。

「加給年金」は、誤解を承知で簡単にいいますと、奥様がずっと専業主婦だった場合に、追加としてももらえる年金という感じで捉えられてます。

現状の70歳まで遅らせたケースではもらえなくなるケースが多いので、75歳までの制度ができても、このあたりはしっかり役所に確認する必要があるでしょう。

年金が破綻しない理由

「年金を信用していいのか?」この質問は非常によく受けます。

年金に関しては、ネガティブな情報が多いので「払わず、自分で貯金」、もしくは「株などで、自分で運用したい」と思う方も多いと思います。

特に自営業者の方は、サラリーマンのように強制的に給料から天引きされるわけではなく、納付書を持って現金で納めるので、そう思いたくなる気持ちはわかります。

では、巷でよくいわれるように「年金は破綻する」のでしょうか?

私の見解では「年金は破綻しません」。理由は簡単で「破綻しないようにルールを作り替え続けるから」です。

年金支給金額を下げるなり、年金納付金額を上げるなり、前述の75歳の話のように選択制ではなく「強制で」もらえる年齢を引き上げたり、あとは税金で補填したり……ということです。

給付だけじゃない、年金のメリット

「年金を払うのは損?」について、単純に「払う金額」と「もらう金額」だけを比べると、確かに若い世代の場合は得ではありません。ただ注意していただきたいのは、年金のメリットは「将来年金をもらう」だけではないということです。

メリット1:所得税を軽減する機能

年金を払うと「支払金額×税率分」だけ、所得税を軽くすることができます(社会保険料控除)。投資信託などを買って自分で運用した場合、そのような特典はありません。

メリット2:保険としての機能

年金は老後の生活資金だけではなく、働けなくなるような重度の障害を持った場合や、最悪死亡した場合に少なくない金額がもらえます(障害基礎年金、遺族年金など)。ある意味「保険」のような機能がついているのです。

メリット3:税金による穴埋め

現状、年金の財政は税金による穴埋めがされています。年金の納付金額だけでは支給金額がどう考えても賄えないからです。つまり、私たちが納めている税金から巨大な金額が年金に流れているということになります。

年金を払わないことは可能ですが、税金を払わないことは不可能です。仮に所得がないとしても消費税として税金が取られるからです。

年金を払わないということは、私たちが払っている税金で穴埋めされている年金財政から年金をもらう権利を放棄しているとも考えらえるのです。

これらのメリットから、トータルでは「年金は納めたほうがいい」ということになります。消費税増税が避けられない昨今の状況では、特に今後はメリット3の重みが増してくると思います。

年金はちゃんと払ったほうが得になる

「国は年金で私たちを騙そうとしているから、払わないほうが得だ」という意見がよくあるのですが、それは半分正しくて半分間違っています。感情論としてはわかるのですが、相手がルールを作り変えられる側である以上、そのロジックは通じないのです。

確かに年金行政が無駄の温床で、甘い汁を吸っていた人がいるのは事実です。

しかし行政側としても「ほら、年金払うとこんなメリットがあるよ」とお得感を演出しないと年金は集まらないので、メリット1~3をルールとして設定しているのです。メリット3の『税金で補填』は、その典型ですね。

お金を強制的にとられる以上、その制度に「乗っからないと損」ということになってしまうのです。

そのやり方に納得いくいかないは別にして、相手(ここでは国や行政)がルールを作り変えることで年金制度自体の「破綻」がない以上、年金はちゃんと払ったほうが得だということになります。

※加給年金は細かく規定が設定されています。
日本年金機構:加給年金

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