• >
  • >
  • 夫の死亡保険金1,000万、老後に向けてどう増やす?
2017.08.6

夫の死亡保険金1,000万、老後に向けてどう増やす?

FPの家計相談シリーズ

夫の死亡保険金1,000万、老後に向けてどう増やす?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。


先日、夫が亡くなり約1,000万円の死亡保険金が入りました。現在、私は自営業を営んでおりますが、経営はあまりよくなく、収入はほとんどない状態です。2、3年で現在の商売に見切りをつけ、パートなどで働ければとは思っていますが、老後、年金だけで生活するのは厳しいと思うので、1,000万円を老後のために、どのようにやりくりすればいいかを悩んでおります。

現在、保険は月額5万円ほど払っています。これらの保険については掛け捨てではないものの、それとは別に、少しでもこの1,000万円を増やせる方法はありませんでしょうか?
(50代前半 寡婦・子供2人 女性)

野瀬:昔よく、友達や会社の同僚と「1億円あったらどうするか?」という話を飲み屋などで真剣に議論したものですが、これ実はシンプルなのですが、非常に難しい問題なのです。

各々の状況によって変わる、お金の使い方

なぜなら、各々の人の前提条件によって「これっ!」というお金の使い方は変わってくるからです。

すでに安定した所得を持っている人が手に入れた1億円なら、自分の夢をかなえるために「エイヤ!」と使うのもいいと思います。

しかし極端な例でいうと、無年金状態の高齢者夫婦が手に入れた1億円なら、大事に使っていく(増やす)必要があります。

また、質問者のように中高年の場合、同居も含めたお子様からの助けがどれくらいあるかにより大きく判断が変わります。

質問者の場合、いただいた情報からは少し状況が見えにくいのは事実です。

自営業をたたんでパートに出る……とおうかがいしておりますので、年金は国民年金のみであり、パート収入もあまり高くはないことは予想がつきます。

ただ、この1,000万円以外にどれくらいの貯金や、持家などの資産があるのかがよくわからないので、「どれくらいリスクをとれるのか」が少しイメージしにくいのも、また事実です。

さらに、加入されている保険についても、これが生命保険なのか医療保険なのかも少しわかりにくくなっています。おそらく生命保険だとは思うのですが、このあたりも予測がしづらい点ですね。

ただ、だからといって「まったくリスクを取らないほうがいいので定期預金にしましょう」という結論も役に立ちません。

ですので、そういう前提条件を排して「私ならどうする? どう増やす?」という視点で1,000万円の運用方法を考えたいと思います。

1,000万円の有効な運用方法

(1)1,000万円で収入を増やす

ご年齢から考えて、家は持ち家だと思いますので、年金を受給できるまでの間の生活自体は、まあパートだけでも成り立つと思います。

ただ、それから後は年齢的にもパートを続けるのはしんどいでしょうし、医療費などもかさむと思いますので、今から老後に備えて10年ぐらいをかけて運用を始めるのがよいかと思います。

私は資産の大部分を元本割れリスクのある投資商品に投資するのは懐疑的なのですが、質問者の方は「この1,000万円以外にも預金があるため、全額を投資に使える」という前提でお話しします。

この1,000万円の運用目的が「老後資金」である以上、大切なのは、「大幅な元本割れ」を回避することです。

一方、それほど大きな利回りは必要ありませんので、間違っても、海外不動産への直接投資や、新興国国債をガツンと買うなどはやめたほうがよいでしょう。また、株の個別銘柄を購入することもあまりおすすめはしません。

理由は、今、日本の株価がまだ高い状態であること。それに加え、分散投資をするにはまだ資金がそれほど大きくないこと。

さらには、今のご年齢から個別銘柄への投資を勉強して、毎日株価を見て、売り時をチェックする、というのは少し難しいかなと思うからです。

となると、消去法での結論として、投資信託という形になってしまうかなと思います。

こちらであればアレコレ細かなことを考える必要はありませんし、1,000万円という、それほど大きくない資金を分散投資できるからです。

ただ、先ほども言いましたが、今は特に日本株がまだ高い状態ですので、いきなりガツンと1銘柄を買うのではなく、ここ1、2年かけて勉強しながら、少しずつ買い増していくのがよいでしょう。

あとは安全性をとって少しばかり、債券をポートフォリオに入れておいてもよいと思います。

(2)持ち家を売却し、タネ銭を増やすという考え

正直、あまりリスクをとることを嫌う私の投資方針、そして質問者の方のご年齢を考えると、前述の案よりもこちらの案のほうがいいのではないかと思います。

それは、あくまで1,000万円以外に貯金があるケースを前提にしていますが、「この1,000万円で今の身の丈にあった家を買う」というやり方です。

首都圏だと今はまだ不動産が高止まりしておりますので、ご主人が、お亡くなりになったこのタイミングで今の家を売り、一人暮らしにマッチした中古2DKあたりに引っ越すというのもアリだと思います。

仮に今の家が2,000万円で売れて、1,000万円で中古マンションを買ったとします。

すると、それだけで手持ちのお金は1,000万円から2,000万円に倍増します、投資のタネ銭が倍になると、当然ですが投資の成果も大幅に増えます。

また、小規模なマンションに引っ越した場合は毎月の管理費も安くなることが予想されるので、その分支出も減るでしょう。さらには、年に一度の固定資産税の支払いも安くなります。

ご主人との思い出が詰まったお家かもしれませんが、ご主人は質問者が安心した老後を過ごすこともまた望んでおられると思います。住宅の買い替えもぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

質問者の方の場合、(1)だけでも(2)だけでも効果は限定的ですが、(1)と(2)の合わせ技により支出を減らし、その分貯まったお金で運用をするとよいサイクルに入ると思います。

生命保険よりも、自分の老後の楽しみを優先させる

さらに一点、補足です。保険に今5万円払っているとお伺いしているのですが、仮にそれが生命保険だとしたら正直高すぎると思います。

掛け捨てではないとしていますが、質問者の方はもうご主人もおられないので、亡くなったとしても受け取るのはお子さんだと思います。

確かに生命保険には税務上、お得な点もあるのですが、そのメリットも縮小されております。

なにより、ご自身がお亡くなりになった後のことよりも、そのお金で、老後の生活の楽しみや安心を買ったほうがよいと思うからです。

この5万円を、たとえば2万円(それでも高いと思いますが)に引き下げるだけで、年間36万円、10年で360万円が貯まり、新たな投資ができる状態になります。

ご自宅を変えることで2,000万円の財産を生み出し、仮に毎年3%で運用できたら、10年後には約2,700万円になります。それにこの360万円を足せば、世間一般でいわれる「老後資金3,000万円」は、貯まることになります。

もちろん、この「老後資金3,000万円」は厚生年金をもらえる人を前提としているものなので、質問者の場合、当初の1,000万円以外の預金も老後資金に加える必要はあります。

しかし、このように数字でロジックを詰めていくと、少しは不安が解消されるのではないでしょうか?

Card Stocks

連載・特集

Ranking

Pick Up

Keyword

Authors