はじめに

老後のためにお金の準備を始めたい。でも、どこから手をつければいいの?

国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集によると、50歳まで一度も結婚したことがない女性の生涯未婚率は2015年に14.06%と過去最高を記録しています。

そして40代のシングル女性から、よく耳にするのは老後資金に対する不安。コツコツ貯めておきましょう、といっても限度がありますよね。老後の収入を増やすために、今、なにをすべきなのでしょうか?


老後の収入を決めるのは「年金」です

公的年金については、本当に受給できるのかどうかなどと不安な報道もされていますが、国家が破綻しない限り年金制度の破綻リスクはないだろう、といわれています。

生涯に渡る給付や国庫負担が行われていることなど、公的年金には私的年金にはないメリットがあります。40代から年金見込額を増やす方法をぜひ押さえておきましょう。

日本の年金制度は“3階建て”といわれますが、公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、働き方によって加入する年金が決まります。年金制度の仕組みを簡単な図にしてみました。

上図の太線で囲まれた年金は強制加入で必ず受け取ることができる年金です。

一方、点線で囲まれた年金は任意加入のため自助努力が必要となりますが、今から10年〜20年をかけて準備をすれば、それなりの金額を生涯に渡り必ず受け取ることができます。また、掛金が所得控除できるなど税制面での優遇もあるため、十分な見返りを期待できます。

将来の年金額を“増やす”方法

では、実際に年金額を増やすための方法を加入年金ごとにお話しします。

■「国民年金」加入者の場合

自営業者やフリーランス、非正規雇用の派遣社員など国民年金に加入している方の場合、年金は1階部分の国民年金のみになります。そんな方々が、年金を増やすためにできる3つの方法をご紹介します。

1:厚生年金に加入できる職場を探す

派遣社員・アルバイト・パートなど非正規雇用の場合、厚生年金に加入できる職場で働くことで老後の収入アップが見込めます。厚生年金は1ヵ月以上の被保険者期間があれば受給でき、また保険料を会社と折半するため今より少ない保険料の支払いで受け取る年金額を増やすことができます。

パート・アルバイトなど短時間労働の加入要件が、平成28年10月から広がっていることも追い風になります。

月給16万5,000円で国民年金から厚生年金に変わった場合、毎月の支払い保険料は1,844円安くなり、65歳以降に受け取ることができる年金は厚生年金部分の1万8,757円が上乗せとなります。こうしてみると、厚生年金加入のメリットの大きさがわかります。

2:満額受給を目指す

国民年金は、20歳から60歳までの40年の間、保険料を納付することで満額受給となります。60歳までに受給資格期間を満たしていない場合や、40年の納付済期間がない場合(厚生年金・共済組合等に加入していないことが条件)は、任意加入制度の利用で65歳まで支払ができるので満額受給に近づけましょう。

3:2階・3階部分の年金を作る

自助努力になりますが、上乗せ部分の年金を生涯受け取ることができる2つの制度があります。ただし、利用する際はどちらかひとつを選ぶことになります。

付加年金」は、付加保険料(月額400円)をプラスして納付することで老齢基礎年金(1階部分)に付加年金が上乗せされます。付加年金の年金額は、「200円 × 付加保険料納付月数」です。

付加年金に40歳から60歳まで加入した場合の例
・65歳からの年金額に4万8,000円(月額4,000円)が上乗せされる
 (200円 × 20年 × 12ヶ月 = 4万8,000円)

保険料払込み金額合計が9万6,000円(400円 × 12ヶ月 × 20年)になるのに対して、受け取れる年金額は累計105万6,000円になります(65歳から87歳まで試算した場合)。2年間受け取ることができれば元がとれてしまう、メリットが大きい制度であることがわかります。

一方、「国民年金基金」への加入は、口数制で年金額や給付の型は自ら選択でき、自分が何口加入するかによって受け取る年金額が決まります。

給付の型は、終身年金A型・B型、確定年金Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型の7種類と豊富です。

40代女性が加入した場合の給付パターンと掛金表の詳細については、国民年金基金Webサイトの掛金月額表で確認してみてください。

基本の給付パターンは、終身年金A型(15年間保証)とB型(保証期間なし)です。

国民年金基金に40歳から加入した場合の例
・40歳から60歳まで終身年金B型に加入
・その場合の月額保険料は1万3,875円
・65歳から年金額に年18万0,000円(月額1万5,000円)が上乗せされる  

保険料払込み金額合計は333万円(1万3,875円 × 12ヶ月 × 20年)になるのに対して、受け取れる年金額は累計396万円になります(65歳から87歳までの試算した場合)。ひとつ注意していただきたいのは、加入は任意になりますが、脱退は国民年金加入者である限り60歳までできない点です。

付加年金と国民年金基金のどちらを選んだとしても、生涯受け取れる年金となるので、ぜひ利用したい制度です。

また、上記の付加年金、あるいは国民年金基金と合わせて加入することができる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」については、次ページの厚生年金加入者編にてご説明します。

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