はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

私のプロフィールは下記の通りです。

【収入面】
世帯主:女性(私)、39歳、会社員、年収380万円(手取り250万)
夫:障害者、障害年金、120万円/年(18歳未満の子の加算48万含む))
長男:小学3年生
次男:保育園年長(子ども手当12万円×2人/年)

【支出面】
住宅:集合住宅(築30年)に33,000円/月(実母所有物件のため格安)
倉庫:夫の趣味の物を置いておくためにレンタル、210,000円/年
毎月の支出:食費平均50,000円、水光熱費17,000円、通信費12,000円、保育園23,000円、習い事15,000円、医療費5,000円、保険13,000> 円、その他雑費20,000円(小遣い等含む)  
合計:18万8千円/月

現在の貯蓄:定期預金1650万円(100万から450万で6種、最長3年)
その他普通預金:80万円
保険:収入保障保険40,000円/年(重度後遺症・死亡時に60歳まで15万円/月) 、医療保険40,000円/年(入院時日額1万円、手術時20万円)、夫、子供は共済5,000円/月、住宅火災保険3,000円/年 すべて掛け捨て

夫は今後も就労予定なし。私の定年は68歳。介護保険関係の専門職をしていて、独立も可能ですが収入が不安定になるため、現職場で定年まで勤務予定。子供は大学までオール公立、大学のみ私立理系も考えています。子供の特性によっては高校卒業後の就労も選択肢としています。

現状、夫の年金、子供関係の手当をすべて貯金に回しています。保険関係は高額医療費等でそこまで負担はないと考え、本当に万一のときの備えのみです。今まで、リスクを取りたくなくて基本定期預金にしてきましたが、老後資金や子供の学費を考えると、多少は資産運用も実施した方がよいかと思っています。

以前、夫がデイトレードにチャレンジしたのですが、精神的に負担で継続できず。 瞬時の判断が難しい人なので、長期運用を私が中心に行おうと思っています。

質問は以下の3点です。
1. 現状で資産運用を行う場合、どの程度の予算で何から始めればよいでしょうか。
2. 私や家族の保険について、今の保険で本当に必要な保障ができているのか心配です。
3. 老後資金について、(2)も関係しますが個人年金保険など検討した方がよいでしょうか。
 
夫の年金額も減っていく一方ですし、私が働けなくなった場合や、子供の学費、老後資金などいろいろな不安があります。どうぞよろしお願いします。
(30代後半 既婚・子供2人 女性)


深野: ご質問ありがとうこざいます。早速回答に移らせていただきますが、順不同になることをお許しください。

保障よりも金融資産に重点を

家族の保険から回答させていただきますが、今の保険で過不足はないと思われます。金融資産をそれなりに保有されているため、その金融資産が保障の代わりになるからです。特に医療費などは短期入院化が進んでいるため、余程の大病をしない限りは多額の医療費が発生することはありません。

また、保険内診療であれば高額療養費制度も利用できるため、過度な心配をする必要はないと思われます。保障よりも子供の教育費やご夫婦の老後を考えれば、むしろ、金融資産を増やすほうに重点をおくべきだと思われるからです。

金融資産を増やすことは、老後資金の質問にもかかわることにもなりますが、個人年金保険の加入は控えたほうがよいでしょう。老後のため、保険料を払い込み続ける強制力はありますが、予定利率が低く収益的に魅力がないうえ、インフレ(物価の上昇)に弱いという欠点があるからです。

かつてはインフレに負けないような、受け取る年金額が次第に増えていく逓増方式の個人年金保険が販売されていましたが、低金利の長期化で、残念ながら販売停止・保険料の値上げがされていっているのです。

年金のための資産運用なら、個人型の確定拠出年金の検討を

では、今後の資産運用という観点ではどうすればよいのかですが、年金と考えるならば個人型の確定拠出年金の利用を考えてみてはいかがでしょうか。

確定拠出年金は「DC」あるいは「401k」とも呼ばれ、メリットは掛け金が全額所得控除となること(個人年金保険は最大4万円)、運用している間の運用益は非課税、将来受け取るときには公的年金等控除などを活用することができるのです。

デメリットは原則60歳まで引き出しができないこと。自分自身で行う運用の成果に応じて将来受け取る年金額が変わってしまうことです。

ご質問者が利用可能だとすれば、毎月の掛け金は最大23,000円/月まで可能です。現在、ご主人の年金と子ども手当等を全額貯蓄に回されていると記載されているので、老後資金のためと考えるならば23,000円まで積み立てることは可能でしょう。

もちろん、最初は5,000円でも10,000円でも構いません。質問者の負担とならない範囲内で開始してください。
5,000円であれば年間60,000円、10,000円なら120,000円の所得控除が利用でき、その分節税することができます。

積み立てていく商品は、国内株や海外株指数に連動するインデックスファンドあたりを国内外半々の割合で投資されていくとよいでしょう。慣れてきたら積立をする金額を増やしていきましょう。

資産運用=投資は、ご質問者の収入、今後のライフイベントなどを考慮すれば、過度なリスクを取らないよう、当面は確定拠出年金の積立だけで十分と思われます。

なお、個人型の確定拠出年金は金融機関が窓口になりますが、すべての金融機関が取り扱っているわけではない点に注意してください。取扱い商品も金融機関によって異なりますが、インデックスファンドであればどの金融機関でも取扱っているはずです。

大変かとは思いますが、資産運用を頑張ってください。

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