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2018.01.5

2年連続で値上げ、「生命保険」とどう付き合うべきか

生保で考慮すべき“2つの機能”

2年連続で値上げ、「生命保険」とどう付き合うべきか

2018月4月、貯蓄性のある生命保険(終身保険、個人年金保険、養老保険、学資保険など)で新規契約の保険料が上がる見込みです。昨年4月に引き上げられたばかりですが、2年連続で引き上げられることになります。

ただし、すべての保険で保険料が引き上げられるわけではありません。定期保険(満期返戻金のない「掛け捨て保険」)では、保険料が下がる見通しです。私たちは保険とどう付き合っていけばいいのでしょうか。


“生保で貯蓄”は無意味な時代に

最初に、結論から言います。長期(10年)国債の利回りがゼロに固定される時代に、生命保険で貯蓄をするのは無意味です。これからは、生命保険には「保険機能」だけを求め、貯蓄機能は求めないようにするのが賢明です。

具体的には、終身保険に入らず、掛け捨て保険にだけ加入し、保険料が安くなることで浮くお金を、自分で貯蓄したり、運用したほうが合理的ということになります。

生命保険には、大きく分けると「保険」と「貯蓄」という2つの機能があります。

保険機能とは「保険契約者が保険金を支払うと、家計を支える働き手など(被保険者)が死亡した時、残された家族など(保険金受取人)に保険金が支払われる機能」のことです。一方、貯蓄機能とは「保険会社にお金を預け、運用を委託する機能」です。運用成果は、満期返戻金などの形で還元されます。

私たちが生命保険に加入するのは、保険機能を必要とするからです。貯蓄機能は、保険に加入するついでにやるもので、主たる目的ではありません。

それでも、1980年代のように金利が高く、予定利率が6%の保険もあった時代には、保険に加入するとともに、保険を通じて貯蓄もするのが、合理的であったといえます。ところが今や、終身保険のような「貯蓄性の保険」で運用しても、リターンはほとんど得られなくなりました。保険は保険、運用は運用で、別々に分けて考えたほうが良い時代なのです。

利回りでは国債に軍配

もう少し具体的に見ていきましょう。架空の保険契約を例に挙げます。30歳の男性が毎月2万円定額で保険料の支払いを60歳まで行い、死亡時に800万円受け取る終身保険を考えてみます(実在の保険ではありません)。

この人が日本人男性の平均寿命(約81歳)まで生きるとしたら、81歳の死亡時に800万円の保険金が支払われます。30歳から60歳まで毎月2万円の保険料を360ヵ月払ってきたので、累計で720万円の保険料を払い込んだことになります。

30歳の時に払い込んだ保険金は81歳まで、最大51年間運用されることになります。60歳の時に行う最後の払い込みは81歳まで、運用期間は21年間です。平均すると、36年間<(51+21)÷2>運用を行うことになります。

現在、30年国債の利回りは約0.8%です。きわめて大雑把な計算ですが、0.8%の利回りで36年運用すると、累計で約29%の利回りが得られます。

ところが、さきほど例に挙げた架空の終身保険では、720万円払い込んだ保険料が、800万円の保険金になるだけですから、累計で11%しか利回りが得られません。運用としては、効率が良くありません。

保険は保険、運用は運用

ただし、一般的な終身保険の場合、30歳で保険に加入し、不幸にしてすぐ死亡した場合でも、800万円の保険金が支払われます。それが、保険のありがたいところです。「早死にした時に残された家族を少しでも助けるために生命保険に入るのだから、貯蓄としては効率が悪くても、やむをえない」と考えている人が多いと思います。

ここで、考え方を変えてみます。生命保険には、保険機能だけを求め、運用は別にやるならば、保険も運用ももっと効率的に行うことができます。

最初に、死亡保険が必要なのは何歳までかを考えます。定年退職するのが65歳だとしたら、65歳までは死亡保険が必要ですが、66歳以降は死亡保険が必要ないかもしれません。

死亡時に800万円の保険金が支払われる65歳までの掛け捨て保険に入れば、月々の保険料支払いは大幅に削減されます。差額を自分で積み立てて、もし年率0.8%のリターンで30年運用できるとしたら、81歳の時には終身保険で受け取る保険金を大幅に上回る金額を得る可能性が高いといえます。

細かい条件は保険会社ごと、保険商品ごとに異なるので、一概には言えません。詳しくは個別商品の説明を確認してください。

相続税対策でも注意が必要

なお終身保険でも、相続税の節税メリットに注目して加入する場合は、まったく話が異なります。現在の相続税法では、死亡保険金については「法定相続人の人数×500万円分」を相続財産から除外することが認められています。

相続税対策として「法定相続人の人数×500万円」の死亡保険金がある一時払い終身保険に加入するのは、節税メリットまで考慮すれば、合理的といえます。ただし、実際に相続が発生する前に相続税法が変更される可能性もあることは知っておくべきです。

年間の支出が収入を上回っている人は、生活費とともに、保険の見直しをしたほうが良い場合もあります。生命保険は必要な保険だけ加入し、必要ないものに加入しないことが合理的です。

何歳まで、いくらの死亡保険金が必要か考えて、そこを満期返戻金のない掛け捨て保険でカバーし、浮いた保険料でしっかり貯蓄・運用していくことが、効率的な資金の使い方になるはずです。

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