はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する花輪陽子氏がお答えします。

現在46歳で、2人の子供がいます。住宅ローンの返済期間はあと29年。子供の将来と自分の老後を考えて貯蓄をしたいのですが、何から手をつけたらいいのか悩んでいます。また、先日契約した生命保険1,500万円(10年契約)が適切だったのか……。判断に悩んでいます。

〈相談者プロフィール〉
・男性、46歳、既婚、子供2人(10歳・1歳)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(マンション)
・住んでいる地域:東京都
・手取りの世帯月収:58万円
・毎月の支出目安:55万円


花輪: 第2子が現在1歳ということですが、第2子が23歳の時に相談者は68歳なので、継続雇用制度などをよく調べて、キャリアと老後資金の計画を立てる必要がありそうです。

退職年齢を遅らせて、老後資金に余裕を

私が住んでいるシンガポールでは67歳まで継続雇用の年齢を引き上げています。日本もこの流れを追うでしょうから、キャリアプランをしっかりと考えておきましょう。

退職年齢を遅らせることができれば、それだけ生活費を長く稼ぐことができるので、教育費や住宅ローンの支払い、老後資金を作る分にも有利に働きます。ただし、各人が健康管理には気を配る必要があります。

住宅ローンの残りの返済期間が29年間あるということですが、遅くとも老後生活に入るまでには完済をしたいです。

東京都内にマンションを購入する場合、物件価格が高額になるために借入額が非常に大きくなるリスクもあります。“借りられるから借りる”のではなくて、“老後までに確実に返済できるのか”という視点から、無理のない金額に留める必要があります。

また、毎月の支出額が55万円と平均と比べると大きいです。

総務省の家計調査によると、2人以上の世帯の平均的な消費支出は28万3,027円です(2017年)。第2子がまだ小さいにもかかわらず、毎月15万円以上平均より支出が肥大化してしまっているので支出の見直しも必要です。

支出を見直し、子供の教育費が本格化する前のゆとりのある時に、返済期間短縮型の繰り上げ返済を何度か行うのも手です。

保険契約は後からでも変更が可能

次に、契約した生命保険が適正だったかということですが、専門家に詳しく判断を煽りたい場合は、契約をした保険関係の書類を一式持参して独立系のファイナンシャルプランナーに相談をすることをおすすめします。

一定期間以上、保険料を支払い、ある程度の「解約返戻金」が貯まっている場合には、解約返戻金を元に保険契約を変更することもできます。代表的な変更方法は2つあり、「保険期間(保険が有効な期間)を変えたくないか」または「保険金額を変えたくないか」を基準に選びます。

保険期間を変えたくない場合は、「払済保険」を選びます。保険料の払込みをストップし、解約返戻金を使って、保険期間はそのままにほかの保険に変更するというものです。

保険金額を変えたくない場合は、解約返戻金を使って、同じ保険金額の定期保険に変更する「延長保険」を選びます。保険金額は同じですが、保険期間は短くなります。払済保険や延長保険にすると、各種特約はなくなるので注意が必要です。詳しくは保険会社やファイナンシャルプランナーに確認してみましょう。

老後に向けて今から支出額を抑える

老後資金は年金、退職金、貯蓄などから準備をします。各自の将来の年金見込額は「ねんきんネット」で試算することができるので、確認をし、退職金も会社の制度を調べましょう。

たとえば、65歳から年金が月23万円支給され、月の支出額が28万円だとすると、毎年60万円の赤字になります。25年間で生活費だけでも1,500万円必要なことが分かります。

そうした意味でも、毎月の支出額は今から小さくしておく方が老後の生活のやりくりが楽になります。支出額が多ければ、それだけ備えなければならないお金が増えることになるからです。また、介護や医療などへの予備費も、夫婦で少なくとも1,000万円程度準備したいです。

相談者の場合、老後資金の準備、子供の教育費の準備、住宅ローンの返済が同時期に行われるので、プランニングを慎重に行う必要があります。

保有資産などの情報が限られているので、できるだけ情報収集をした上で、一度ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談をしてみるのも1つでしょう。日本FP協会で、FP無料相談を体験することも可能です。

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