FintechサービスのAlt-Right対応に見る機微

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8月17日付の米Forbes誌は、米国で大きな政治的イシューとなりつつあるAlt-Rightに対する、決済サービスを営む事業者の対応について触れています。

Apple社はApple Payの支払手段に関して、ネオナチズムや人種至上主義に関わるプロモーションに関わるサービスについては、利用不可とする対応を行ったと8月17日付で報道されています。この動きは、Google等のブログ運営プラットフォームが白人至上主義のブログを登録不可とした対応に連なるものと見られており、会社イメージの保護に向けた動きともいえるものです。

同様の反応はPayPal社も行っており、同社の広報サイトにおいて、常に表現の自由と開かれた対話を重視する中で、ヘイト行為や暴力を助長する際とに対しては厳しいポリシーを持ってきた旨を明らかにしています。

決済手段を提供するサービスは、法に反しない限り、理論的にはあらゆる用途に対して中立的な立場を取ることもできます。究極的には現金に強制通用力が保証されているように、決済手段が絶たれてしまうことは、必要以上の社会的な排除にも繋がってしまう側面も持っています。

しかし、今回のケースを通じて見られるのは、決済が通常はインフラ的な位置付けを帯びながらも、実務的にはサービスレイヤー的なブランドイメージ競争に晒されている点です。テロ資金提供につながるような違法行為と、社会規範に反する行為の間には大きな隔たりがありますが、複数の決済インフラが利用可能であり、それがB2Cで使われているならなおさら、サービスレイヤーにおける特色とも言える意思決定がFintechには求められていると考えることができます。それだけ、決済手段自体にUXがあることを、認識させてくれる事例ともいえます。

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