ビールの飲み方が変わる4つの知識
救われるのは家計か?日本の財政か?

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残暑で汗ばむ日々が続いており、ビールが美味しい今日このごろです。

マネーフォワードとビール。恵比寿の地にオフィスを構えるご縁もありますが、今回はお金と節約に絡んだ、ビールに関する4つの知識をお送りします。

次の一杯の飲み方が変わるか、最低でもうんちく話ができるようになります。

1.国際的に見たビール消費量

ビールを世界で一番飲んでいる国はどこか?

一昔前であれば、その答えは名実ともにアメリカでした。しかし、この10年ほどは中国が首位となっています。1995年からの2011年までの増加を見ると、中国でのビール消費量は3倍以上に伸びており、既にアメリカの2倍の消費量を記録しています。

一方、日本は世界では7位(発泡酒等を含む)。そこそこの存在感(飲みっぷり?)を、グローバルには発揮しています。

他にも消費国の上位では、ブラジルやロシアでの飲酒量が大きく伸びています。BRICsと呼ばれる大型新興国の中、唯一ここで見られていないのはインドの名前ですが、こちらも184万キロリットル(国別では20位)と、近年消費量が伸びてきているそうです。

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ちなみに、一人あたりの消費量を見てみますと、沢山飲んでいそうなイメージの国としては、ドイツ、アメリカや最近はベルギーなどが挙げられますが、消費量が一番多いのは、実はチェコです。その量たるや、年間122リットル。続いて、オーストリア、ドイツが100リットル超の水準を記録しています。日本の43リットルと比べると、これらの国々では実に2-3倍は飲み干している計算になります。
 

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2.日本のビール出荷量は全盛期の半分

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日本のビール消費は世界の中ではまだ上位にいますが、国内ではこの15年超の間、ビール単体での消費は半分以下に減少しています。国内での国産ビールの出荷量は1990年代半ばのピークを境として、2011年には280万キロリットルまでに縮小しています。

代わって、出荷量を穴埋めしてきたのは発泡酒と第三のビールなどの新ジャンルです。以前はビールの代わり、として飲まれていた印象がありますが、いまや発泡酒と新ジャンルを併せると、ビールを上回る出荷量となってきました。

内容としては、もちろん安いから、昔よりも美味しくなってきたから、というのもありますが、昔と比べて「外飲み」よりも「家飲み」の割合が増えてきている中、家飲みでの発泡酒・新ジャンルの割合が半分以上のシェアを越えてきていることも一因としてあるようです。※1

3.日本の財政を支えるビール

楽しい時間を支える役割とは別に、ビールにはもう一つの顔があります。それは、税金の稼ぎ頭としての顔です。

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ビールからの税収の額は、平成23年度中は6,279億円。発泡酒(1,147億円)と併せると、日本の酒税のうちの54%を稼ぎ出す、中心的な存在となっています。

とはいえ消費の減少が続く中、ビールからの税収はピークだった頃からは、1兆円以上減少しています。消費税1%を上げることの増税効果が2.5兆円超と言われる中で、ビール消費の減少が、国家財政にも結構な影響を与えていることに驚かされます。

これだけの税源となっている背景には、ビールに課される税金が、他国との比較でも高いことが挙げられます。

ビール瓶一本(633ml)あたりにかかる税金を国際比較すると、日本は139円と、アメリカやドイツの10倍以上、イギリスと比べても2倍弱の税金がかかっていることが分かります。

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税金のことを考えていても「酒がまずく」なりますが、国を支えるためにより気合を入れて飲むも良し、家計のことを考えて色々な工夫を考えても良し、判断はそれぞれお任せいたします。

4.飲む量と快感は比例しない?

さて、高い税金を横目に、片やいい気分で国家財政に貢献するか、片や家計を守るか。

実は、一つ家計の節約につながる研究結果※2が、本年発表されています。

インディアナ大学の研究者が49名の男性を相手に行った実験によると、人はなんと、たった15mlのビールを口にしただけで、脳内でドーパミンが生成されることが分かりました。スポーツドリンクを口にした場合との比較により観察を行った研究者たちは、ビールの快感をもたらしているのは、アルコールの量ではなく、味である、という洞察を得ています。

この研究はアルコール依存のメカニズム解明に向けて行われたものですが、いったん「ビールうまい!」と学習した人にとっては、アルコールよりも、味の方が楽しさのベースになっているのかもしれません。そうであれば、最初の一口だけビールを飲んで、あとはもっと安い飲みものでも良いのではないか・・・

少し前のリリー・フランキーさんの小説「東京タワー」の中では、「オカン」が焼酎を割る方のドリンクだけで楽しそうに酔っ払うシーンがありますが、ここに着想を得た節約方法も、色々とあるのかもしれませんね。

財政に貢献するか?家計を守るか?

以上、税金の話を含めると色々複雑な思いにかられるビールの知識を見てきました。
もっとも、夏の暑さがビールを美味しくしているのも事実!

折衷案として、最初の一杯はしっかり国家財政に貢献して、その後は他の飲み物で家計を守りに行くのも、良い方法かも知れません。

引き続き、残暑を乗り切っていきましょう。

※1 日本政策投資銀行(2012)『酒類業界の現状と将来展望(国内市場)<前編>』p45より リンク

※2 Brandon G Oberlinほか(2013)Beer Flavor Provokes Striatal Dopamine Release in Male Drinkers: Mediation by Family History of Alcoholism リンク

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