日本の高齢者は勤労な一方、お金は怠けている?

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あなたは将来、何歳まで働く予定ですか?

先日、公開されたOECD(経済開発協力機構)による年金制度の調査ではこの問いに対し、日本人が他の先進国に比べて、高い年齢まで働き続けている状況を報告しています。

同調査では、先進国における平均的な国民の退職年齢(実効退職年齢)を調査しています。
日本では男性が69.1歳、女性が66.7歳と、先進国の平均である男性64.2歳、女性63.6歳に比べて、3-5年も平均的に長く働いていると推計しています。

国ごとに見た平均退職年齢

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OECDはこの結果を、高齢化が進む社会の中で、働くことで生活費を稼ぐことができる好ましい傾向である、と述べています。

ただ、実際に働く側からすれば、日本の高齢者は、特にイタリアやフランスの高齢者と比べると5-10年近く長く働いており、なんだか損しているような、そんな気になるものかもしれません。

一方で、お金の運用に関しては異なる側面が報告されています。

高齢者の所得の構成を、年金(等の社会保障制度)、労働所得と運用収益に分けて見ると、日本では高齢者が労働により老後の所得の44%を得ており、先進国の平均である24%を大きく上回っています。一方、資産から得ている所得は、先進国平均が18%であるのに対し、日本は8%に留まっています。事実、他の国と比べても、資産運用に寄る収益(下図の一番右の分類)が占める割合は、結構少ない割合を占めています。

国ごとに見た高齢者の所得の内訳
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日本人は勤労であるがゆえに、貯蓄のもう一つの方法である、「自分ではなく、お金に働いてもらう」という効果が少なめに出ている、といえるのかもしれません。
お金にも怠けてもらわず、ちゃんと働いてもらう必要がありそうですね。

ちょっとだけでも働く期間を減らしたい。フランス人、イタリア人の老後生活に憧れる部分があればなおさら、老後に向けた貯金と資産運用をしっかり考え直してみる価値はあるのかもしれません。

出典:Pensions at a Glance 2013 (2013年11月26日発行、OECD)

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