本年、お金に関する流行語として、ビットコインが話題となりました。
暗号通貨という聞き慣れない言葉、正体不明の日本人名で書かれた論文、ビットコイン価格の高騰に加えて、ビットコインに関連したアプリをアップル社がApp Storeで却下したことなど、好奇心を刺激する要素が満載となっています。
現在、ビットコインを実際に使うことができる方法はかなり限られていますが、注目を集めている理由としては、ドルや人民元に代わる新しい通貨としての期待に加えて、「お金の受け渡し」に、コストやストレスが感じられることも挙げられるのかもしれません。このストレスを解消する、PayPalなどの送金サービスや、CoineyやSquareなどのカード決済をより身近なものにするペイメントサービスは、来年はより盛り上がりを見せていくものと期待されます。
JPモルガンが「次のビットコイン」を特許申請
そのような中、12月に入ってから、あの米国の投資銀行JPモルガンが、「次のビットコイン」になると噂される特許申請を行ったことが話題になっています。
JPモルガンが申請した特許の概要を見ると
・インターネット上の決済を行うための電子的な方法 というタイトル
・一つのオンライン上の送金口座について、一人の人のみが資金を引き出せ、複数回の預金をすることができる仕組み
・口座は匿名ベースで利用可能
・送金口座の「アドレス」を公開し、検索エンジンやサイトに掲載することができる
・アドレスに向けて送金が行えるほか、送金に関する通知が行うことができる
・オンライン上で、過去に行われた取引が参照可能
となっています。同銀行はこの特許申請について、「クレジットカードは向こう5年間は支配的な支払手段であり続ける」一方で、「少額取引については、クレジットカードやデビットカードは向いていない」としており、この新しい送金手段を活用する背景の一つとしています。少額取引の例としては「出版物、音楽、動画、ソフトやゲーム」を挙げています。
これらの技術は、個別には真新しい要素の組み合わせではないという批判もありますが、ゲームや音楽の支払いはもはや大変身近な存在になった中、現状アプリストアでのクレジットカード払いが中心となっている世界に、一石を投じるものと見ることができます。
にわかビットコイン
次のビットコイン、と言うテーマでは「にわかビットコイン」の存在も取り上げられています。
「ライトコイン」と呼ばれる、同様の暗号通貨の価格は、この半年間で4倍以上に上昇しています。本年100倍も上昇したビットコインには負けていますが、暗号通貨への注目を如実に表している一例です。
本来、「にわかビットコイン」は、異なる暗号通貨の方式を採用するだけなので、何種類でも作れるものともいえます。暗号通貨自体に価値がある一方、ビットコインは過熱していると思われた場合には、ライトコインのような「にわかビットコイン」が買われるようになるのかもしれません。この流れの延長線には、ビットコインという流行語的な物珍しさから、価格の高騰がいずれは落ち着き、新しい決済の流れという本質的な付加価値に向けた工夫が生まれるのでは、と期待されます。
個人的には、年初からマークしていたビットコインの高騰に地団駄を踏むばかりですが、より決済での本質的な価値に期待しながら、来年以降も注目していこうと思います。
Photo by gamillos