ある怪優の35億円相続プラン

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先日ですが、筆者が好きな俳優の一人でもあった、フィリップ・シーモア・ホフマン氏が若くして急逝しました。
すごく有名な俳優ではありませんが、ミッション・インポッシブル3の敵役や、アカデミー男優賞を受賞したカポーティ、マネーボールでのうだつの上がらない監督など、どちらかというと怪優という存在でした。

さて、生前、彼は35億円の資産を有していたとのことなのですが、この相続プランに再考の余地があったのでは、と米国で話題となっています。

事実婚を貫いたことで12億円の相続税が発生

ホフマン氏には生前、子ども3人と長年連れ立った未婚の妻がいました。しかし、米国では多くの州において、夫婦間では無制限の相続が可能である一方、未婚の妻の場合にはその時点で相続税が発生する法律となっているそうです。

そのため、5億円程度の控除枠はあれど、残りの30億円については40%の税率がかかり、本来は次の相続時にかかったであろう12億円の相続税が、残された家族に発生した模様です。

遺言の更新がなかったため、要らぬ心配に

ホフマン氏には遺言がありましたが、これは2004年に、子どもが一人のときに作成されたものだそうです。しかし、その後二人の娘が生まれたあとも、遺言は更新されませんでした。

もともと、遺産の多くは妻に渡る予定だったとのことですが、遺言契約上、三人の子どもの間で平等に資産が行き渡らない可能性があるとのこと。法律上、守られる権利があるとはいえ、余計な気遣いや「争」続が生まれてしまう余地を残してしまっているとのこと。

信託を使わず、プライバシーが犠牲に

この記事が書かれてしまった理由でもあるのですが、ホフマン氏の相続において、信託契約が十分に使われなかったことから、その内実が一般の目に触れてしまった、ということもあります。セレブリティでもある中で、不必要な詮索や質問を受けてしまわないためにも、信託をちゃんと活用することが記事内では推奨されています。

怪優でなくても、セレブでもなくても、やっておくべきこと

セレブリティでもなく、何億円も残されるような環境でもなかったとしても、このような事例が日常の延長線で簡単に生まれてしまうことには、注意が必要なのかもしれません。
 
 
相続の場面には、ドラマや感情を含める必要はないはず。いざとなった時でも、家族が必要以上に不安になることがない状態ができているか。できれば平時のころから準備を進めていきたいものです。

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