ガマンしきれなかった?個人の株式投資

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少し前の話になりますが、先日、日本銀行の資金循環統計が発表され、日本における2013年度中のお金の流れが明らかになりました。

よく、日本の個人金融資産は1,600兆円と言われますが、これは資金循環統計から引用されてくる数字です。この統計では、どのようなお金のフローがあったのかを知ることができます。

個人の2013年度中のお金の動きを見ると、全体では25兆円の貯蓄を行った一方、26兆円分の(株高などによる)評価益の効果がありました。合計すると51兆円も資産が増えた形となり、残高は1,630兆円と、年度末の値としては過去最大を記録しています。

ただ、このように個人のお金は増え続けている一方で、個別の資産間では別の動きが目立っています。

以下の図は、25兆円の貯金が行われたうち、どのような資産にお金が入り、どこから出て行ったのかを見たものです。

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(出所)日本銀行「資金循環統計」より筆者作成、年度末ベース

通常の貯金もあるため、全体ではプラスの値となっていますが、預金と投資信託、それと保険・年金を中心にお金が流れています。一方で、お金の出元を見ると、個人は株式を5.3兆円も手放しています。

じつはこの5.3兆円という金額、過去最大の売り越し額です。その背景は複数あるものの、金融危機の後、そこそこ回復してきた市況をみて、もういいか、と思った個人が多くいたのではないか、といったあたりかもしれません。

整理するために過去10年間の、個人の株式の損益を見たのが下記の図になります。

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(出所)日本銀行「資金循環統計」より筆者作成、年度データ

株式の評価損益は、リーマン・ショック前後の2007-08年度に合計で116兆円のマイナスを記録してから、5年間をかけて70兆円ほどのプラスを実現してきました。

しかし、2013年度の後半にはNISAの開始もあった中とはいえ、そろそろ潮時と判断している個人がいる、というのが実情のようです。

全体から見ると、あともう少しガマンすれば、金融危機前の株価まで戻るところなのに、という所で、売却を進めている形になるのかもしれません。

筆者も変な汗を流しながら、もうちょっとガマンしてみようかと思っています。

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