大金持ちもアプリでお金を管理したい?

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前回ご案内したCap Gemini社の調査の中で、特集が組まれていたのが、電子的な(メールやアプリ等での)情報提供でした。

その大きな理由として、大事な情報について「すぐに正確に」わかること、が挙げられています。

富裕層が金融機関にデジタル的な情報提供を求める度合いを見ると(図表)、従来の富裕層の「大事なお金のデータは信頼できる担当者から教えてもらいたい」というイメージは覆されています。

図表 地域別に見たデジタル的な情報提供への要望

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世界全体では5年後までには64.2%がメールやアプリでの情報提供を望む、と回答しています。この割合は、30億円以上の資産を有する超富裕層でも同様であり、プライバシーをより気にするはずの人たちであっても、利便性を重視する傾向が見られています。

この傾向は、特に若い富裕層において顕著で、40歳未満では82.5%と、大変高い割合が見られています。日本での割合は61.5%と限定的である一方で、若い富裕層の多いアジアでは82.3%と、かなり高い水準である点が目立ちます。デジタル機器に囲まれて生活してきた富裕層にとっては、これは当然の傾向といえそうです。

レポートでは、もう一つの意外な発見として、従来「自分で意思決定したい、自立的なユーザーだけがインターネットチャネルを使うのでは」という見方も間違っている点を挙げています。

富裕層の中でも、自らを「金融機関にアドバイスを求める」と分類したユーザーにおいても、57.1%がデジタルな連絡を求めています。実際の取引や、アドバイスを受ける際には、対人的な担当を求める一方で、情報については早く適確に、という要求は変わらない状態が生まれつつあります。従来の金融機関に求められてきた「秘密を守る信頼できる銀行マン」という印象は、ここには現れていません。

このレポートでは結論として、富裕層であってもGoogleやAmazonなどの操作性にすぐれたインターネット体験をしていることは変わらないため、デジタル的なコミュニケーションが不得意であったり、提供できていない金融機関は、いずれ富裕層から見限られてしまうだろう、と述べています。

マネーフォワードのユーザーの皆様とも同様ですが、多くの富裕層は、様々な口座で資産を保有しています。これは、リスク管理を難しくしてしまうため、特に2008年の金融危機を経て以降は、一つの金融機関で、まとめて資産を管理し、その情報を「すぐ正確に」把握したいニーズが顕在化してきました。これらを早く正確に把握したい、というニーズは古今を問わず、アプリに向けられているのかもしれません。

※引用・図表はCG社2014年度調査レポートから。本文はWorld Wealth Report 2014のページよりダウンロードできます。

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