IntuitによるCheckの買収

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少し前になりますが、6月に米国の会計ソフト大手Intuitが請求支払い確認アプリCheckの買収締結を発表しました。その買収総額たるや、360百万ドル(約360億円)に上っています。

IntuitはPFMの世界では、QuickenとMintという、いずれも過去に全米一の規模を誇ったプロダクトを有していました。

そのような中、更にPFMの一角であるCheckを買収した理由として、従来のQuickenやMintは、お金に関する「これまでの振り返り」を行う機能を果たしてきた一方で、消費者はより「行動を起こす」ためのサービスを求めている旨を述べています。

今回買収したCheckは

・ケーブルテレビやクレジットカード、保険料等の請求を一元管理
・更には、支払いも数タッチで可能。一度行った支払いの自動化も可能
・支払いが厳しそうな場合や、引き落とし不足が起きそうな場合にはアラートを発信
・一度設定すれば、その後はモニタリングが自動で行われる

ことが可能なアプリとなっています。

Checkの画面イメージ

check

同アプリのiTunesストア掲載キャプチャより

 

ユーザーは1,000万人以上を超えており、請求支払いの遅延がクレジットスコアの悪化など、目に見えた被害につながってしまう心配を抱える中で、早期の返済というニーズを適確に掴み、規模を拡大しています。

同社が設立されたのは2007年。
その拡大にあたっては、二つの方向転換があったとのこと。

当初ウェブサービスとして開始した同社は、会員数が2万人に達したあたりで成長が鈍化。早急に成長エンジンを求めて、モバイルファーストとする戦略に向けて動いたものの、当時、モバイル分野が熱いと思っている投資家は少なく、投資をなかなか受けられなかったそうです。初期のエンジェル投資家に助けられながら、なんとか、AppleのApp Storeのローンチ時にアプリを間に合わせた後、地道な拡大を遂げました。

更に2011年頃からは主戦場をペイメント分野に変更しており、請求支払い時の決済市場を押さえる形で、現在に至っています。規模としても、資金調達額はそれまで数百万ドルに留まっていた一方、2011年と2013年には合計39百万ドルを調達しています。WSJの取材によれば、Check社の年間収益は20百万ドルを上回っているとのことです。

Checkの開発拠点はイスラエルに置かれています。CEOの以前のインタビューでは、その二つの拠点をつなぐために、数百万円もするビデオ会議システムを入れた話や、上記のピボットを進めていった話が展開されています。

Intuit社はこの買収により、中小企業や個人向けサービスでの請求支払いへのキャパシティを付すことができる、と述べています。もはや、PFMの巨大プレーヤーがどんどんIntuitに統合されていく印象もある中で、今後、どのようなサービスが生まれてくるのか、海の反対から楽しみに待ちたいと思います。

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