今週、米国で企業向けに、ロイヤリティプログラムを提供するThanxが全米トップVCのセコイア・キャピタルから約5億円の資金調達をする発表を行いました。
同社(※)はアプリを通じて、企業とユーザーに向けて、企業ごとの「ポイントカード」とは異なる、還元プログラムを提供しています。その登録方法は簡単で、サービス上でクレジットカード番号を登録し、スマホにアプリをインストールするだけ。
あとは、ユーザーがお店で同じクレジットカードを使えば自動的に割引が適用される、という手間いらずなプログラムとなっています。
事前に登録を行ったクレジットカードを用いて、購入時に特典を受けるプログラムは、CLO(Card Linked Offer)と呼ばれるスキームとして、従来からも存在していました。
しかしながら、その普及にあたっては従来はウェブサイト上などからの登録が必要など、実際に利用されるシーンと、その手続のための煩雑さがネックになっていた側面があります。
Thanxはいったん同社のアプリをインストールしてしまえば、その場で次々と特典プログラムに加入することが可能となっています。小さな変化ではあるものの、実際の店舗での登録の手間を省くことができる点や、その後も商店向けには細かい分析ツールが提供される等、小さな利点の積み重ねが差別化につながっています。
このような特典プログラムの普及は、究極的には 1.財布の中を専有する「ポイントカード」 2.従来、カードを発行するためにかかっていた費用 3.アプリを通じたプッシュ通知や顧客分析 といった、消費者をラクにさせる側面も、マーケティング上の貴重な情報としても、両方良い所どりの世界につながっていきます。
財布の中の限られたポケットを奪い合うポイントカードから、よりオープンで、必要な時に使いやすいサービスが提供される世界。割と、近い未来にも感じられるのではないでしょうか。
※ちなみにThanxの創業者Zackは筆者の大学院の同級生。めちゃくちゃお茶目で、生き方自体がジョークフルな楽しい友人です。