ノンバンク2.0

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昨年のLending Clubの上場に引き続き、年が明けてからもビッグデータを元に貸付を行うプレーヤーの勢いが止まりません。

ドイツ発祥のノンバンク、Kreditechは今週、2億米ドル(約240億円)のクレジットライン(融資を受ける枠)を得たことを発表しました。

同社は、ポーランド、スペイン、メキシコ、チェコおよびロシアにおいて、既に1.2億ドル(約140億円)の融資実績を有しています。

注目すべきは、融資の際の審査方法。

同社では、20,000を超えるデータを元に融資の審査を行うとのこと。その内容は銀行の明細から、携帯電話の利用歴、インターネットの閲覧履歴やソーシャルネットワークのつながり、通販サイトでの取引などまで様々。これらの審査は瞬時に行われるため、ローンの審査は35秒程度で行われるとのこと。

これらのデータポイントは、その後数百を超える分類に分けられた後に、意外や厳しい審査が行われ、85%の申込者が審査落ちするとのこと。
このセレクションを通った申込者は、月利(!)で5-28%のローンを借り受け、返済率は93%以上と、高い水準をキープできるのだそうです。

このようなシステムを、同社は200人の従業員の内、半数をエンジニアが占めることで作り上げているとのこと。元々、信用調査を行うために創業した同社は、銀行からはなかなかその分析能力が評価されず、自分たちで自ら貸付を行う決断をし、ノンバンクへと転じたとのことです。

データの量が増えるほど、審査の精度も上がる中で、先月にはポーランドのアカウント・アグリゲーション業者を買収する等、各国でもデータを集めることに注力しているようです。

今後、同社はより多くの消費者に近づくために、提携関係を増やしていくとのこと。場合によっては、ライバルでもある銀行産業とも組む可能性があるそうです。

また、国際展開も進めており、欧州からメキシコ、オーストラリア、ペルー、ドミニカ共和国、カザフスタン、ブラジル、と様々な新興国への進出を進めており、ビッグデータを元にすればユニバーサルな展開が可能であることも実証しています。

従来、審査項目が多すぎて、貸付の対象とはならなかったこの領域で、ビッグデータのみを武器にノンバンクの新しい姿が生まれつつあります。

人が経験や分析で審査を行ってきた世界を、機械的に組み合わされたデータが圧倒する、一つの象徴的な動きといえそうです。

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