ロボ・アドバイザーの終焉?

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2014年は、インデックス投資の自動運用を行うプレーヤーが目覚ましい金額の資金調達を行った年でした。

以前のブログでも取り上げたように、Wealthfront、Motif Investing、Personal Capital、BettermentおよびFuture Advisorといったこれらのプレーヤーが、累計4億ドル以上を調達してきた中で、既存の資産運用産業を脅かすのか、が2015年度の焦点となっています。

今週、米TechCrunchに掲載されたコラムでは、データ会社を営むLeonard氏が、このロボ・アドバイザーと呼ばれる自動運用プレーヤーたちの成長性に、懐疑の目線を投げかけています。

現在、米国での伝統的プレーヤーとしては、ネット系証券から巨大な資産運用プラットフォームに成長したチャールズ・シュワブや、世界最大の規模を誇る資産運用会社ブラックロックがいます。これらのプレーヤーは「それぞれ」、「毎年」3-4億ドルのマーケティング費用をかけており、それが収益のわずかに過ぎないことを、同氏は強調します。

さらに、チャールズ・シュワブ本体が、運用コスト0.00%の投資ポートフォリオサービスを提供予定していることや、老舗のインデックス運用会社バンガードが0.30%の運用ツールを提供するなど、ほぼ同様の機能をもって価格圧力をかける戦略にも出ています。

結局のところ、大型調達を行った数多くのロボ・アドバイザーは差別化できていなかったことを示している、と同氏は述べています。その結果、ロボ・アドバイザー産業は底辺への競争が始まったサインである、とも。

確かに、BettermentやWealthfrontが0.25%といった手数料水準でサービスを提供する中、ベンチャーの中では最大級の規模を誇るBettermentであっても、3-4億円程度の収益しか確保することができない現実があります。ロボ・アドバイザーたちは、ひたすらスケールを続けてこのあと10兆円規模の運用会社に成長するか、より差別化が効くサービスで高い報酬を求めるか、という岐路に立たされているといえます。

上記のトレンドは日本の文脈で、どのように考えるべきなのでしょうか。

日本と米国との最大の差異としては、ロボ・アドバイザーの議論以前に、いわゆる「独立系の運用会社」の不在があります。

単純な例で見ると、日本では公募投資信託の上位の運用会社(Excelデータ)は、軒並み大手の金融機関系列のものとなっています。

一方で、米国では運用会社の大手は、フィデリティ、バンガード、PIMCO、ブラックロック、キャピタルグループといった、独立系の会社が上位を占めます。ロボ・アドバイザーは、独立系プレーヤーたちがひしめき合う中での、アクティブvs.インデックス、さらには、人を介したポートフォリオアドバイスvs.自動リバランス、という世界での戦いになります。

日本のユーザーの目線からすれば、1.販路がありブランド・経営が安定した運用会社と、2.安定的リターンや低いコストを目指す独立プレーヤー、の間で、現状は前者を評価、もしくは、後者の付加価値が現実化していない、という状況があるといえます。

今後、これらのバランスが変わることがあれば、まずは独立した運用会社というジャンルが立ち上がってくることが、先にあるのかもしれません。そのような中、和製ロボ・アドバイザーたちが、この動きを一気に促進する可能性もあるのではないでしょうか。

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