ロボ・アドバイザーは終わってない!

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先日取り上げたロボ・アドバイザー産業の終焉の議論に対して、業界の中心プレーヤーから真正面の反論が行われました。

ロボ・アドバイザーの一社であるFutureAdvisor社のCEOであるBo Lu氏は、先日の記事に対して、ロボアドバイザー産業はまだ始まったばかり、という反論を展開しています。

Lu氏は、先日の記事の中で取り上げられたチャールズ・シュワブやバンガードといったプレーヤーは、既存ビジネスとの競合を意識するあまり、積極的にこの業界を攻めようとはしていない点を述べています。

例えば、シュワブの場合であれば発表後7ヶ月も経っているのに、2015年前半にローンチ予定とサービスインしていない点を挙げています。また、ヴァンガードはウェブカムを利用したフィナンシャルプランナー(FP)のサービスを発表しているものの、きっとそのようなサービスを提供できる十分なFPの数が見つからない点を挙げています。

その上で、Lu氏はロボ・アドバイザーは、中流階級というブルーオーシャンを攻めていることを述べています。何より、本当の資産アドバイスを提供できる人材は限られており、それを提供できるだけの人材は富裕層向けサービスを行っていることを述べています。

その例として、FPは平均で100人程度の顧客のみにサービスを提供できる中で、富裕層向けの対人チャネルでは、資産運用サービスを通じて1-3%の運用手数料を得ることができます。一方で、一般的な世帯では平均的に数百万円の資産しかない人たちが多い中で、その料率ではそもそもマーケットが成立せず、従って自動化が必然的な道である旨を述べています。

上記の文脈で考えると、そもそも人によるアドバイスが必要/不要であった、という文脈ではなく、資産運用を対人で提供することは、元々高価な選択肢であった、ということが見えてきます。

自動リバランスと運用アドバイスという、ソリューションと合わせて実際のプロダクトが提供され始めたことで、破壊的なイノベーションというよりは、資産運用アドバイスの庶民化が行われている、といった見方が正しいのかもしれません。

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