秒速で億!オンライン地上げ!進化する自宅売却

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米国では今週、不動産の売買に関わるベンチャーのサービスに関するニュースが複数出ました。

秒速で億!スピード査定のOpendoor

米国で住宅の査定・買い取りを行うベンチャーOpendoorは今週、20百万ドル(約24億円)の増資を発表しました。

同社は、家の住所とスペック(間取りや面積、キッチンや庭の改修状態など)を入力すると、実際の見積もりを計算するだけでなく、買い取りオファーまで出してくれるサービス。

そのスピード感たるや、まるで車やバイクの査定。いざ登録が完了したら、即日中にOpendoor社から買い取り金額のオファーが伝達されます。


住宅情報の入力画面
opendoor

中抜きを行うわけではないためかかる手数料はあまり変わらない上、1.0-2.5%の「リスクプレミアム」を徴収するものとなりますが、利用者は、あの「家がいつ売れる」の不安を抱えずに枕を高くして寝ることができます。

同社が想定する家の売却にかかる期間は、最短で3日。もはや急な引っ越しであっても、家を売るというのが選択肢に加わった形となります、

平均的な家が売れるまでにかかる103日かかっている現実に比べれば圧倒的なハイスピード。秒速、とまではいかないものの、簡単に億円単位の取引が実現する時代がついにやってきました。

現在フェニックス市限定で展開している同サービスは、今後オレゴン市とダラス市でもサービスをローンチ予定。巨大都市ではなく、州レベルでの大都市から市場に入り、市場モデルをつくろうとしている点に、その本気度合いを感じます。

オンライン地上げ!勝手に値付け!進化するZillowの価格設定機能


makememove

米国の住宅情報プラットフォーム大手の、Zillowで掲載されている物件には、Make Me Moveという記載がある場合があります。

これは、「引っ越し予定ないけど、◯◯万円積んでくれたら家を出るよ」

と、ユーザー自らが申告する価格です。いわば「俺を地上げしろ」機能ともいえるもの。

機能としては10年近く前に導入されたものですが、実際に売却ニーズがある人だけでなく、潜在的な取引需要を視覚化しているところに味があります。

また、Zillowには元々膨大な住宅の取引情報がストックされている他、Zestimateという家の「勝手値付け」も行っています。
こちらも、もはや米国の6割の住宅に勝手に値段をつけているとのこと。

もはや住宅の情報を調べるならスタンダードとなったZillowが、このような勝手値付けを提供することで参照情報が増えるため、住宅購入も安心して考えることが可能となっています。

Zillowの本丸の機能は、通常の住宅の登録や売主・買主のマッチングです。今週には、住宅保有者が自宅の情報を反映することで、リアルタイムにZestimate価格がアップデートされる機能も出たようです。

上記の地上げツールや買って値付けと合わせて、新たな価格情報を作り、本来は生まれなかったかもしれない取引を促しているといえます。

家のメルカリ!C2C市場のOpen Listings


openlistings

そして、エージェントや仕組みを介さずに、直接C2Cで家を売買できる仕組みも、出てきています。

Yコンビネーターで現在、集中的なプロダクト改良期間を過ごしているOpen Listings社は、カリフォルニア州内において、直接個人と個人が家を売買できるマーケットを運営しています。

米国では住宅用不動産の2/3が、リピート・バイヤー=これまでにも一度は家を買ったことがある人により構成されています。

同社は、不動産にありがちな3%の取引手数料ではなく、固定で5,000ドルの手数料にて家を売ることを可能としています。インターネット上の情報は、いまや「不動産屋さん」の価値を大きく代替するようになっており、80%の仕事は売買する側が行っている。手数料が見合わない、と述べています。同社はリクエストがあれば、実際の内見もセッティングするサービスもあるとのこと。

5,000ドルなんてとはいえ高い、と見えるかもしれませんが、本来の不動産仲介にかかる手数料に比べれば確かに安いもの。
売り手も買い手も等しくメリットを受けるこの仕組み、まさに家のメルカリ!ともいえるものです。

まとめ: どんどん金融資産化する住宅

このように、米国のインターネットサービスの中には、住宅の潜在的なニーズや、公となったデータからの推計、価格情報の幅広い提供、といった方法によりマーケットを作っていく動きが見られます。

これは、まさに「市場」を作ることで「価格を発見」していく、金融市場そのものと同じ動きと言えます。市場が整備される中で、売るまでにかかる手間・時間(流動性)や、不安(不確実性)も削減されるため、従来は「一生に一度」の買い物と捉えられてきた住宅が、頻繁に売買可能な金融資産に近づいている、と見ることもできます。

このニーズは日本でも全く同じです。まずはZillowの登場が待たれるばかり。
メルカリで家を売買する日が来るのも、近いかもしれません。

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