Vouchでソーシャル連帯保証ネットワーク

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Vouch

金融のイノベーションが日々起こるFintech産業。今週も、特徴的なプレーヤーが大型の資金調達を実施しました。

その名前はVouch。今週、6百万ドル(約7億円)の調達を発表しました

同サービスは巷で、「信用のソーシャルネットワーク」(Social Network for Credit)と呼ばれています。

数多くのソーシャルレンディングサービスが勃興する中、Vouchの特徴は「社会的なつながり」を信用力の担保としている点です。

その仕組みはとてもシンプル。「いざとなった時に借金の肩代わりを頼むことができる」友達同士で連帯保証(※)を行う、という内容になっています。

そして、保証人となってくれる友達が一人の場合には250ドル、二人の場合には750ドル、三人の場合には1,500ドル、という形で融資枠を得ることができます。

同様に、借りることができる利率も、一人なら1%、三人なら3%、五人なら5%も安くなるなど、お互いを保証することでメリットが生まれる形となっています。

より詳細に見ると、保証人となる友人はFICO(信用スコア)600点以上で、破産状態ではない18歳以上の人、とされています。このような条件を満たす友人に向けて、借り手が登録を行うと、友人に保証依頼が送られ、友人は保証可能金額を入力する仕組みとなっています。

なお、申し込み費用等は無料ですが、ローン組成時に貸出額の1-5%が手数料として発生します。その後、借り手は元利均等で支払いします。支払い遅延時には5%の金利が課され、支払いが行われなかった場合には保証人が弁済する、という手続きになります。

米国では個人が受けられるローンやカード支払いにおいて、日本よりもはるかに高い利率で借りる必要があるケースが存在します。それだけに、友人同士で保証を行うことで、ソーシャルに連帯保証が行われることは、過激に聞こえる一方で、非常に意義のあることでもあり、革新的なレンディングサービスとして位置づけることができます。

日本でも、無尽や頼母子講といった伝統があったことを考えると、借金は、連帯して行うことがむしろ基本形といえるのかもしれません。また、一昔前に有名になったマイクロファイナンスも、本質的には同じものといえます。

過激に見えて、意外と伝統的なソーシャル連帯保証。古くて新しい金融のスタンダードとして、発展する余地が日本でもあるのかもしれません。

※いわゆる連帯保証と保証は異なります。Vouchのケースは、日本の法律上は保証に近いもの、といえます。

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