支店を閉鎖しFintech投資を進めるドイツ銀行

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ドイツ銀行は6月3日付で発表したプレスリリースにおいて、ベルリン、ロンドンとシリコンバレーの三拠点において、Fintechのイノベーションラボを設立すると発表しました。

ドイツの最大手銀行であるドイツ銀行は、同行の中期経営計画でもあるStrategy 2020において、Digitalize DBと銘打ったイニシアチブとして、10億ユーロ(1,400億円)の投資を行うことを表明しています。その目的として、顧客体験向上、収益機会・プラットフォーム価値増大・新規獲得を挙げています。


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出所:ドイツ銀行”Strategy 2020″

同銀行は拠点ごとに技術的パートナーを設けており、ロンドン拠点ではインドのシステム大手のHCL、ベルリンではマイクロソフト、シリコンバレーではIBMとともに、年間500件程度のビジネスモデルを評価・検討していく予定です。また、大学やベンチャー企業と協業する中で、同銀行の顧客に資する技術的な取り組みを進めていく予定です。

このような動きは、HSBCやBBVAが数百億円という規模のファンドを立ち上げ、バークレイズやアメリカンエキスプレスが各所で同様のインキュベーション施設を立ち上げる中で、後発ながら大規模の予算をもって参入してきた形となります。

欧米の銀行では既存のチャネルから、デジタルテクノロジーに向けた経営資源のシフトを行う例が顕著に見られています。

特に、ドイツ銀行は現在700支店を構えるドイツ国内の拠点について、最大200店舗を閉鎖することも同じ経営計画の中で挙げており、今後の10億ユーロの投資方針と相まって考えると、その潮流を反映した意思決定を窺うことができます。

現COOをCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)として任命し、まだ経営プランが表明された段階ではありますが、将来に向けた金融機関の経営モデルにおける危機感を如実に表している例といえるでしょう。

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