Fintechがもたらす10個の未来シナリオ|Fintech(フィンテック)研究所

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昨今、Fintechとして様々な領域や技術が取り上げられています。しかしながら、Fintechという幅広い分野の中で、それぞれのプレイヤーが視野としている範疇や及ぼす影響力には大きく差異があります。

そのような中、米国のefinancialcareersのサイトにおいて紹介されている、Fintech業界幹部へのヒアリングを通じたFintechが及ぼす10の未来像は、比較的多くのFintech業界に関わる者の視点に近いと思われる内容となっています。個々が持つ未来像と、付随するコメントを以下では紹介します。

1.証券取引におけるブロックチェーン(分散システム)の役割

「ブロックチェーンによって、これまでの金融機関の記録管理手法は根底から覆る可能性がある。金融取引の実行、記録、照合と報告は、より強化されたセキュリティと低いエラー率で行えるようになる」(R3 CEO)

2.今日のリテールバンキングの死

「ATMや国際間送金にかかる手数料は、ビットコインやモバイルペイメントが普及する中で消えていくだろう。手数料を主な収入源としていた金融機関は新たな収益源を見つけるか、値上げをするほかなくなる」(セキュリティ系ベンチャーDigital ShadowsのCEO)

3.サーバーセキュリティのアウトソース

「金融機関が優秀な技術者を雇い、セキュリティを担保するという現在のモデルでは、もはや十分なクオリティを確保することは難しくなった。より専門的な最先端技術を有する会社へのアウトソースが始まる」(Digital Shadows CEO)

4.予測分析モデルの高度化

「予測分析モデルは、金融取引(人・コンピューターによるものを含む)を変えることになる。銀行は大量のデータを有するが、事業の効率性やセキュリティの向上、詐欺防止などに役立てることができていない」(Digital Shadows CEO)

5.データの収益化

「Googleが金融業界に参入した場合に、どのようなアプローチをとるかに大きな関心がある、おそらくはクレジットスコアリングの周辺から取りかかるだろう」(シティグループMD)

6.銀行のノンコア機能の集約

「データ参照や担保の管理、情報通達などといった銀行のノンコア機能は相互化され、外部のコンソーシアムにとって代わられるだろう」(REDI CEO)

7.集合知の活用

「クラウドソーシングは人やコンピューターが行う意思決定の際に、これまでの全く異なった判断要素を提供してくれるだろう」(Estimize CEO)


「より多くの人達が、ソーシャルメディア上のポジションや、コピートレーディングに基づいて投資を行うようになるだろう」(eToro CEO)

8.ターミナル端末に対する挑戦

「金融モデルは今後、アプリケーション中心に提供されていく。既存のターミナル端末は、遅すぎて、重すぎる、と感じられるようになるだろう。」(Algomi CEO)

9.金融機関向けFintechベンダー

「大規模な金融機関に向けて、彼らの弱みとなっている事項のソリューションを提供できる身軽なベンチャーが出てくる。利益のみでなく、顧客満足度を意識したクラウド技術を提供できるベンチャーが、よりシェアを奪っていくだろう。」(Algomi CEO)

10.ロボットの登場

「2020年までにロボットは中間層に向けた投資助言を行えるようになる。現状の投資顧問等がその助言に2.5%のフィーを課しているのに対し、ロボットは0.5%でそれを提供できる。」(Stockradar CEO)

Fintechはその定義の広さから、様々な解釈や未来像が描かれるものとなります。個別のプレーヤーによって重要な点は異なりますが、大筋として見ておくべき技術的展開は上記の10個のシナリオがヒントとなりそうです。

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