過去はググれ、未来はAugurに聞け|Fintech(フィンテック)研究所

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

ブロックチェーンは非常に大きな技術的インパクトを持つテーマとして、昨今取り上げられています。
一方で「どうやって役に立つの?」「いつ普及が始まるの?」と問われることもしばしば・・・

ブロックチェーンは、従来とは真逆の発想で高いセキュリティ性を持たせた記録管理手段です。

その具体的な説明はFintech研究所顧問の記事に委ねますが、とりわけ、個別に新しい契約を作るときや、その結果に対して「嘘がつかれにくい」認証の仕組みを作る際にそのメリットが強調されるものとなります。
そのため、ビットコインを始めとする仮想通貨などの金融サービスは勿論、それ以外のジャンルにおいても、ブロックチェーンは契約の履行や信頼のカギとなるため注目されてきました。

そのような中、ブロックチェーンを効果的に活用したキラーアプリ候補と見られているのが、現在アルファ版のサービスを出しているAugurになります。

Augurは予測市場を、ブロックチェーンの力を使って運営しています。予測市場とは、例えば大統領候補の当選確率やスポーツの結果など、様々な将来のイベントに対して賭けを行う市場です。参加者は、例えば「ヒラリー・クリントンが当選した場合に一ドルもらえる」権利を、例えば60セントで購入するような仕組みとなります。

予測市場には、ギャンブル的な参加者が多く入る一方で、参加者が「ガチ」の予想を行ってオッズが変動するため、最も精度の高い予測情報が得られる場所としても注目されます。

この予測市場、コンセプト自体はかなり以前から存在していますが、その賭け・売買の記録や結果の報告のなかに恣意的な操作や嘘が混ざらない仕組みを作ることは、システム構築の際に課題とされてきました。

Augurはブロックチェーンを用いてこの問題を解決しています。具体的には、個別の売買契約がブロックチェーンで記録されるのみでなく、結果についても複数の人が「ヒラリー・クリントンが大統領になった」「シカゴ・カブスがワールドシリーズで勝った」といったことを証人として保証する仕組みとなっており、仮に偽証をした場合にはその人の持つ仮想通貨の価値が下がる仕組みとなっています。

予測市場はその性質上、無限のシナリオを取引することができるため、未来のことについて、事後的に検証可能な対象であれば何でも聞けるようになります。

「これまでのことはググるけど、これからのことはAugurに聞け」といったことが、いずれ現実になろうとしています。なんとも夢のある話ではないでしょうか。

ただし、肝心なポイントとしてこのビジネスは、現時点では違法の賭博としてみなされる可能性が高い状態です。

過去の米国の予測市場も、学術目的の特例であるアイオワ大学の市場を除いて、米国内では取引が認められていません。この点はまた別の課題を孕んでいますが、いつしか取引が可能になった際には、ブロックチェーンが広範に使われる画期的な機会になるものと期待されています。

取り急ぎ現時点では、「Augur自体が合法になるのか」、を予測する市場が必要なのかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。