Finovate Europe 2016入選企業一覧|Fintech(フィンテック)研究所

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金融スタートアップの祭典Finovate Europe 2016に参加してきました。

金融関連ベンチャーサービスの登竜門として知名度を得てきた同イベント。今回の内容を見るに、従来のDisruptor的なプレーヤーのショーケースという立ち位置から、徐々に金融機関にB2Bモデルで様々なイノベーションを提供するプレーヤーが増えてきているように感じられます。

Finovate期間中に、参加者投票で選ばれるBest of Show 6社をご紹介します。

音声認識でIFTTT型投資Capitali.se

Capitali.se

Capitali.seは、音声認識で手軽に株式投資が行えるサービスです。その特徴としては例えば、

「Buy 500 Starbucks shares at market」

といった音声を拾って取引実行直前までのセットアップを行える点と、さらに複合条件で、コーヒー豆の価格が下落して、SBUXが60ドルを切った場合にのみ買う、といった条件付き発注が可能になっている点です。

さらには、サービス側が上記の条件のバックテストを行い、株価が60ドルではなく、50ドルとなるまで待った方がいい、といった推奨も行ってくれ、かしこいIFTTT型の株式投資、ということができそうです。

株式投資の身近な存在感の醸成は、Robinhoodの登場により、新たな次元での競争が始まった中で、Capitali.seはそこに音声とAIという切り口を提供するものとなります。

端株版RobinhoodのDrivewealth

Driverwealth

Drivewealthも、身近な株式投資を推し進めるプレーヤーの一つですが、こちらは端株での取引を、できるだけシームレスに行える、という点が特徴です。

端株での取引を可能とすることで、例えば10ドル分だけ、AmazonやGoogle(Alphabet)の株式を購入したい、といった取引が可能になります。
できるだけECの世界観を投資に持ち込む中で、絵文字での株式銘柄検索も可能とのこと。また、個別の銘柄をバスケットに加えていくと、適切な等分投資や、リバランスも可能になっていくとのこと。
日本ではOne Tap BUYに近いオファリングといえそうです。

眼球認証のEyeverify

EyeVerify

以前もFinovateに登壇したEyeverify。今回は、従来の止まった状態での眼球認証に加えて、ユーザが動く点を目で追うバージョンの認証技術をプレゼンしています。
すでにWells Fargoなどで実用化が行われている技術となります。

やや注意が必要なのは、同社は網膜認証ではなく、眼球の特徴を捉えた認証を行っている点です。網膜認証は特殊なレンズでの計測が必要な中、スマートフォンのカメラでも十分なスペックでの提供を行っています。

同サービスは誰でも同社アプリをダウンロードすれば試すことが可能となっています。

本人確認ツールのIDscan

IDscan

IDscanは金融機関を対象に、本人確認資料等の入力時のドロップレートを減らすことを想定したパッケージです。
たとえば、口座開設手続き時に必要となる運転免許証の入力について、従来であればスマホカメラで定まった角度から免許証を写し、個別に入力を行うことが必要でした。
しかしIDscanでは、どのようなアングルでも免許証を認識し、更には記載されている内容をOCR読み取りし、自動で入力してあげる、というもの。
また、不正検知のため、ホログラムのみを読み取る、といった様々なオプションが用意されています。

金融機関のウェブ戦略において、地味ではあるが重要なのがこのドロップレートの防止策です。顧客が利用意図を持っているのに、取引の開始まで辿り着けないロスを最小化する方向性の技術は、本Finovateでは他にも複数出場していました。

出会い系株式取引アプリSwipestox

SwipeStox

Swipestoxはいわゆるソーシャルトレーディングを提供するアプリです。ソーシャルトレーディングはFXにおいて行われることが多いですが、こちらは株式取引にも援用していくとのこと。
すでに、7社の証券会社とのAPI連携を実施している中で、証券口座とデータ内容を同期し、彼らいわくTinder for Trading(※Tinderは米国最大の出会い系アプリ)を実現していくとのこと。

当然、出会い系といっても投資家同志がアイデアを出会わせる、という意味。投資家は投資に関する思いやアイデアをビデオにして、自らのチャンネルで投稿することができ、その取引をフォローする投資家から、取引手数料の一部を受け取ることができます。

請求書送金ツールValuto

Valuto

Valutoは、主に欧州内での請求書発行に対して、即時での決済手段を提供するサービスです。ユーロ、ポンドのみでなく、多様な国の通貨に対して、請求書決済ツールを提供し、請求先が承認すれば1秒程度で、請求元側のアカウントが増額されるデモを実施していました。

個別の会計SaaSサービスからの請求書データの読み取りを含めて、シームレスに請求できる内容になっています。

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上記の事例では株式取引系が3つを占めるなど、取引需要ドリブンなセレクションが目立っていますが、全体としては銀行や証券会社向けにロボアドバイザリーを提供するB2Bツールがかなり目立った内容となりました。
このような内容についても今後、折に触れてご紹介してまいります。

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