Bettermentが大型調達で大勝負?|Fintech(フィンテック)研究所

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3月29日、米ロボアドバイザー最大手のBettermentは1億ドル(約110億円)の増資を発表しました。

FT紙ほかによれば、資金調達時のバリュエーションは7億ドルと、前年の60百万ドルの調達時(4.4億ドル)と比較して60%ほど上昇したとのこと。増資の大半(65百万ドル)はスウェーデンの投資ファンドKinnevikから出る形となりました。Fintechに限らず、多くの大型ベンチャーの投資マルチプル低下がみられている中で、残余財産分配やダウンラウンド時の希釈化条項などのない株式での出資になったと報じられており、ユニコーン(10億ドルを超えるバリュエーション)となるよりも、ダウンサイドリスクを取れる調達ラウンドを選択した模様です。

本ブログでも取り上げてきたように、ロボアドバイザー業界は、その付加価値に関して様々な議論があった業態となります。そのような中、Bettermentは初心者向けのロボアドバイザーとして、その圧倒的な低コストツール(0.15-0.35%の運用手数料)としての幅広い層から支持されるブランディングを武器としてきました。最近は機関投資家向けのホワイトラベルのサービス提供も始めています。

このような施策が奏功して、現在同社の顧客は15万人、39億ドル(約4300億円)を運用するに至りました。

また、ロボアドバイザーや投資系のサービスが最近特徴的に述べているのは、その運用会社としての価値提供ではなく「貯蓄習慣の入口」としての位置づけ。格安での投資手段を提供することで、それまで投資をしたことがなかった若年層に、新しい金融サービスの窓口を提供する一番地になる。そのようなポジショニングが見られます。

Bettermentも、以前は提供していなかったアカウント・アグリゲーションサービスの提供も始めた中で、ロボアドバイザーが、PFM的な動きを見せているような印象すらあります。よりリスクを取れる形で調達を行った今回、Bettermentはある意味、長期的に腰を据えることのできる戦略で勝負に出てきた、といえそうです。

一方で、米国で2番目に大きいWealthFront(運用残高35億ドル)は31日、VenmoやRedfinといったミレニアル世代向けのFintechサービスを取り込むことができる機能を開始しています。同社は今までも、特にシリコンバレーで若くして富裕となった層に向けたサービス提供において頭角を現していましたが、Venmoなどの身近な送金アプリを取り込むことには、より小規模の投資家を取り込んでいく意思があるのかもしれません。

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