EyeVerifyをAnt Financialが買収

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本ブログでも2014年今年の2回取り上げた眼球認証ベンチャーのEyeVerify社が、中国で破竹の勢いで進み続けるAnt Financial(アリババグループのFintech子会社、Alipay等を運営)によって買収されることを、今週発表しています。

EyeVerify社のプロダクトはシンプルで、スマートフォンのインカメラで眼球を使った本人認証を行うというもの。プロダクト自体は細かく進化を続けており、以前はスマートフォンのインカメラに対して、認証の際ユーザーが眼球を動かす必要がありましたが、現在は目を開けているだけで、ログインが可能なものへと、精度が上がっているようにも感じられます。iTunesGoogle Playにおいて、認証を試すこともできます。

このプロダクトは、スパイ映画などで登場する赤いレーザーが目をスキャンする網膜認証や光彩認証とは異なり、目の毛細血管の位置などをもとに確認を行うものとなります。後者の方法であれば、特殊な装置を使わずとも「自撮り」と同じ要領で生体認証を行えるようになります。99.998%という認識率の高さと、この分かりやすさのメリットを活かし、これまでも米銀大手のWells Fargoが試験導入するといった実績を重ねてきました。Alipayも今年の前半に、EyeVerify社の認証技術の活用で合意していたなかで、さらに踏み込んだ技術活用が可能となった形です。

一方で、Ant Financialといえば、今年の4月にオンラインの未公開企業として未曾有の45億ドル(4,500億円)の資金調達を行ったプレーヤーです。親会社のアリババは昨年の独身の日(11月11日)に、ECで一日に1.7兆円もの売上を上げたことが話題となりましたが、これらの決済はAnt社のAlipayを用いた支払が行われています。

ただ、5億人のユーザーを誇るAlipayの座は安泰とも言えなくなってきており、中国ではメッセージングアプリのWeChatがWeChat Payで急速に追い上げを見せています。WeChat Payの利用は主にQRコードの表示をスマートフォン上で行う形をとりますが、今回の買収を契機に、将来的には、例えば事前にAlipayに登録された眼球の情報を店頭の端末で確認することで、利用者はスマートフォンすら持ち歩かなくとも買い物ができるようになるかもしれません。

このような生体認証は今後、様々なサービスにおける肝となる動きといえます。日本でも既にリキッド社の技術を用いてイオン銀行が 指認証(暗証番号不要)のATMを展開し、大垣共立銀行も印鑑届出の代わりに手のひらを活用する銀行口座を提供開始しています。今まで当たり前と思われてきたキャッシュカード、通帳、印鑑さらには暗証番号といった認証手段は必須でなくなり、より分かりやすく便利な方向へと、用途が広がっていくものとなります。

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