CFPBが示すFintechに向けた期待

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

今週、ラスベガスでのMoney 20/20に参加している関係者も多いものかと思いますが、同イベントで米国のFintechの推進役として機能してきたCFPB長官スピーチドラフトが公開されています。

その内容の中でも特筆されるのは、CFPB自体が新しい政府当局である中で、自らデータドリブンの意思決定を行い、目的遂行のためにイノベーティブな方法論を積極的に採用していることと、そのようなアプローチへの親近感をベンチャーに感じている、と述べている点です。そして、これまでに100万件を超える消費者からの苦情を受付、そのデータもAPIにて取得可能になっているとのこと。苦情内容も自然言語処理を用いて分析を内部で行っています。

その上で、多くのFintech企業が提供する新たなサービスは、規制面での新たな視点や課題をもたらすものととなりますが、既存の金融機関との平仄を合わせ、必要な処罰等も行いつつも、技術がもたらす新たな可能性への期待の高さに言及しています。

CFPBではProject Catalystというプログラムを4年前から開始し、英FCAなどはこのプログラムを参考にSandbox政策を形成してきたとされます。同プロジェクトは柔軟なアプローチは、オフィスアワーと呼ばれる窓口での相談を通じて、いわゆるアンバンクド層への金融サービスへのアクセスを提供したり、より便利な決済手段や、より消費者ローンの条件改善、といった成果につながるサービスを生んできました。その過程は「とても実験的」なものであったとされ、全ての答えを知っている訳では無い中で、試行錯誤からのラーニングを重視しているとのこと。

このProject Catalystについては、CFPBのサイトで24日付でその活動報告レポートが公表されています。

スピーチ内にも言及がありますが、レポートでは項目4.3において、日本でも銀行APIの議論として取り上げられる、消費者による金融データへのアクセスも述べられています。そして、消費者の同意のもとで行われるデータアクセスによって、個人資産管理や本人確認の手続き軽減がメリットとして述べられています。また、米国で金融機関側がこのようなデータアクセスを許容しない態度をとる場合には、その良さが部分もしくはすべて失われることを述べており、CFPBとしてもこのようなデータアクセスを行うモデルを支援していく、と記述しています。

CFPBによるこのレポートやスピーチでは、欧州におけるPSD2や、様々なRegulatory Sandboxへの取り組みと同じく、良い金融サービスの形成に向けて、監督官庁が示すことができる新しいアプローチと、データのあり方について明確な姿勢を示すものと言えます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。