英上院のBrexit分析

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英国の貴族院(House of Lords)は今週15日、6月23日の国民投票で決定したBrexitに関する、金融産業への対応についてまとめたレポートを発表しています。

その中ではFintechについて言及した章があり、概要を紹介すると

  • Fintechは年間200億ポンドの収益を生む産業となっている
  • Fintech産業は金融産業一般と比べて海外人材に依存している。そのため、移民に関する制度変化の影響はより大きく受けることになる。Innovate Financeに属するFintech企業のうち、30%の創業者が海外で生まれている
  • 英国には起業家ビザが存在するが、その取得には多額の資金調達を行っているか、事業を開始する直前であることを示す必要がある。多くの起業家はアイデアを持っているにすぎず、要件を満たせずに他の市場へ行ってしまう可能性が高い
  • EU一般データ保護規則(GDPR)に基づくと、現状多くのFintech企業のデータがアイルランドのサーバーに置かれている中で、第三国での同等性のレジームを保たないと不確実性が高まり、投資の減少に繋がってしまう
  • 個人データへのアクセスについてはPSD2(改正決済サービス指令)との同等性を保ち、第三者へのデータ提供のあり方等を保持することが重要。米国に比べて英国はEU寄りの立場であり、その観点でEUとの強い関係を保つことが重要
  • ベルリンはFintechハブとして、ロンドンからの企業誘致を図っている。規制や法制度、資金調達や助言などの資源があったロンドンにおいて、今後も同様の環境を保つことができなければ、新規の創業は生まれにくくなる。FCAはこれまで大きな支援を行ってきた中、金融産業自体が資金調達を支えてきた側面もある。近時では米国のFintech産業はカリフォルニア州からニューヨークへと移りつつもある
  • 上記の要素を加味した欧州からの離脱手続が行われることが産業としても重要
  • これまで色々な業界内の声で分析されてきたこのトピックですが、本レポートの整理は、懸念点をシンプルにまとめている形になります。

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