Fred Wilsonの2017年予測

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米国の有名キャピタリスト、Fred Wilson氏(Union Square Ventures共同創業者)が毎年恒例の新年予測を行っています。
対象は米国のテックセクターになりますが、もはやITと金融の境目がつかない中で、ほぼFintechともいえるテーマが盛り込まれています。

その内容をそのまま意訳すると;

・新政権で法人税・所得税減税が進む一方、Carried Interestに対する優遇はなくなる。その影響は市場が織り込み済み。優遇撤廃は、所得税減税により相殺されるのでVCの人にとっては大きな痛みにはならないかもしれない
・市場自体はいずれ、利上げとなんらかの新政権の失策でスローダウンするだろう
・法人減税を契機に、米国企業が海外子会社に積み上げていた資金を本国還流させる動きがみられるだろう。その資金を使ったM&Aブームが来る
・IPO市場はSnapchat主導で加熱する。2000年来最多のIPOになるとみている
・アドテク市場は、検索・ソーシャル・モバイルと同様に、GoogleとFB「以外」のプレーヤーが負ける構図になる。だが、SnapchatやTwitterなど、新たな媒体の台頭もある
・SaaS分野は1.レガシー型大企業向けソフト、2.成功したSaaS企業、3.PEファンド の3者による買収が継続する
・AIは、一昔前のモバイル戦略と同等の位置づけに。各企業は「AI戦略」を話さなければいけなくなる
・テック産業にゲノム解析・生命科学が新たな分野として加わり始める。生命科学とITの境目がなくなり、投資資金が流れ込む結果、多くの悪い投資も生まれるだろう。だが、巨大な勝者もこの中からは生まれるだろう
・GAFAの独占的立場は、過去のマイクロソフトのように政府や個人により糾弾され始める。そのために、何らかの実在しない危機シナリオなども取り上げられるのではないか。その解決策としては、分散型のアプリケーションやデータプラットフォーム(ブロックチェーン技術など)がその糾弾を和らげるはず
・冷戦時の核戦争のように、サイバー戦争は重要なトピックであり続ける。だとすると、核シェルターの代わりに暗号化技術が重要となり、秘密鍵について皆が学習を始めるのではないか

同氏は、ちゃんと年末に予測を振り返っている点が信頼につながっています。2016年に予測したものの叶わなかったこととしては
・GAFAの(株価面の)凋落
・ビットコインがキラーアプリを生むこと
・大量のベンチャー評価減は起こらなかったこと
があり、

一方で言い当てたこととしては
・GAFAの市場占有率拡大
・サイバー戦争の激化
・AIの取り上げ
などがあります。

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