プリミティブな金融教育とは

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今週、とあるオーディエンスに向けた講演を行う機会に恵まれました。

そのオーディエンスとは、5歳児という極端なセグメントだったのですが、金融リテラシーにFintechがもたらすインパクトについて、一つの洞察を得る機会となりました。

このイベントの趣旨は、幼児向けにもお金の概念と「電子マネー」を教えるという試みにあったのですが、元々、このような取り組みはプロフェッショナルなFPの方々がキッズ・マネー・ステーションなどの取り組みで実践もされてきているテーマでもあります。

私たちが生きている、急速にキャッシュレス化が進む世界では、データの利活用や決済機能の高度化といったメリットがある反面、手触り感のある(タンジブルな)お金から、デジタルな情報となったお金を生活上で把握する難しさ、というが挑戦が生まれつつあります。これまでであれば、紙幣3枚、貨幣10枚、といった形で残額を確認できた世界から、場合によってはカード型電子マネーのように、決済時点でした残額が分からない世界が待っていることを意味しています。

このような社会は、利便性に対して厳密なトレードオフではないものの、現実として収支管理が困難化する側面を含めて進展してきているのも事実です。過去の他国の例を見ても、急速にクレジットカードが普及する社会では、収支の規律を失い、自己破産する人が増えてしまうようなケースも見られてきました。そのような人たちを少しでも減らしていくべく、新しいお金の管理を身に付ける必要が求められているのではないか。このような問題意識は、高校生向けの授業をやっていても、年配の方向けの講演をやっていても常に感じるテーマであり、今後の社会課題としての実感を得る機会となりました。

当社はFintech企業として、デジタル化がもたらす恩恵を実践していく立場である反面、収支管理というもっとも基礎的なリテラシーをもたらすツールを提供する立場にもあります。今回の園児に向けたレクチャーは、情報の利活用においてはしばしば応用的なお金の管理が取りざたされがちな中で、改めてこのプリミティブな機能や金融教育を提供することの意味を、実感する機会となりました。

ちなみに、5歳児であっても交換の概念は理解でき、また、おはじきをWallet情報として預かり、代わりに電子的な情報(今回は葉っぱの例を使いました)で可視化することも理解できることも、今回の収穫ではありました。既に、電子マネーでおこづかいを貰う子どももいる中で、このような教育を家庭や様々な教育現場でも援用していくことができないかは、今後とも検討していければと考えております。

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