BBVAにおけるAPI本番開放

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BBVAは5月24日、同社の銀行機能のAPIを本番環境でも開放したことを公表しました。

同社は従来からも一年間ほど、テスト環境におけるAPI提供を行ってきましたが、晴れて正式に本番環境において活用できる形となります。今後、ユーザーはサンドボックス上での試験を経て

・ユーザー情報:ユーザーの基礎情報(デモグラデータ、位置情報等)、多要素認証による更に深い情報を取得可能
・口座情報:本人情報、残高、取引履歴(カテゴリー含む)、リアルタイム情報
・カード内容:発行されているカードの内容、認証用情報のステータス、個別のカードごとの支出額等
・ペイメント:P2PおよびP2B向けの支払機能を二段階認証により提供。日付を指定した振込などを規定の手数料により実施可能
・貸付:商店での支払い時に融資を付すことができる機能、事前審査を介したスムーズな融資実行、顧客ごとのカスタマイズ等
・リアルタイム通知:銀行によるイベント通知、テーラーメイド型のイベント通知、他のAPIサービスと組み合わせた通知等
・事業性口座:残高・取引履歴、他のERPソフトとの統合、取引内容の分析等
・支払い統計:支払情報を郵便番号や地理的な区分け、顧客行動、時間、デモグラデータなどで分析できる

という8点の機能を用いることができるようになりました。当初はスペイン国内のサービスが対象となり、今年の後半には米国の顧客向けサービスも対象となります。そしてさらには、トルコ、メキシコ、ラテンアメリカにも拡充する見込みとなっています。

日本での銀行APIは、制度上の経緯からも決済を中心に進展してきた中で、この事例は融資や、プッシュ通知といった拡がりが見る際の参考となります。また、日本では即時に本番環境での開始を行う事例が多く見られる一方で、BBVAの場合にはエンジニアリング・コミュニティとの間で1年間にわたるトライアル/エラーを繰り返し、1,500もの事業がそのプロセスへの登録を行っています。API化は単に機能の拡充やPSD2への対応のみならず、デジタルな銀行体験にプラットフォームとなることを目的として、実効性ある形を担保したことも注目されます。

最終的には、ユーザーとの接点がこのようなチャネルを経由したものへと変遷していく中で、APIとは取引を指示するもののみならず、金融機関がどのような関わりをユーザーと持ちたいのかを体現する、興味深い事例といえそうです。

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