Fintech投資が復調した2017年Q2

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テクノロジー情報でおなじみ(かつ最近、有料化宣言した)CB Insightsが2017年Q2のFintech産業の資金調達レポートを発行しています。


四半期ベースでのVCによる投資額は、件数、金額ともに過去最高を迎え、251件、52億ドルとなりました。特に4-6月の間には新たにRobinhoodやCloverなどの新たなユニコーンが生まれたことが特徴的な動きとなります。昨今のICOによる資金調達も踏まえた上で考えると、多額の資金が流れ込んでいる潮流が窺えます。

また、Q2の押し上げ要因となったのは、ソフトバンクによるPaytmへの14億ドルの出資です。5月にインドに出張した際にも多くの識者が口にしていたのはソフトバンクによる旺盛な投資意欲であり、Demonetization後に現金流通量が以前と同水準に戻ってきた中でも、非現金化に向けた長期的なトレンドへの期待値が高い状態が続いています。

産業の分類を見ると、米国ではカテゴリ分けにも表れているように、保険、資産管理、ブロックチェーンが注目される3分類となっています。一方で、欧州、中国やインドなどでは従前からのFintechともいえる資産運用やオンラインレンダーへの投資の堅調さが続いており、ハイプサイクル的には、新たなジャンルが勃興する米国と、既存の実用期が進む他地域、という区分けが透けて見えるような形となりました。

しばらくブログお休み頂いておりました

NY出張中に腕の怪我をしてしまい、しばらくキーボードを触れない日々が続いていたのですが、復調してまいりました。

この間濫読をしていたのですが、良い本がいくつか出ていまして、ご紹介させてください。

中田 敦(著)GE 巨人の復活 シリコンバレー式「デジタル製造業」への挑戦
日経BPの中田さんが著された、GEがリーンスタートアップ手法を大胆に取り入れた一連のプロセスを説明した一冊です。その昔「巨像も踊る」がブームを迎えましたが、同様ないしそれ以上の驚きが、分かりやすく綴られています。ジャック・ウェルチCEO以降の会社のあり方としてここまでの組織変化があったという観点もあれば、中田さん自身が書き終えた後に驚かれていたように、イメルトCEOの交代ニュースというタイムリー性もあるため、今こそ読んでおきたい一冊になっています。

ナシーム・ニコラス・タレブ(著)反脆弱性――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方
NY出張で怪我をする直前に聞いていたのがタレブ氏の講演でした。「ブラック・スワン」や「まぐれ」において、不確実性とリスクに関する一大著述家としての地位を築いた同氏は、2012年に米国では発行された同作で「反脆さ」というリスク概念を提唱しています。普通、脆くない、というと堅固さが想定されますが、脆さ(例えばコーヒーカップが壊れる)の反対は、起業家の成功のような「万に一つで大きなプラスを得る」ような結果であると定義づけています。この概念を追っていくと、例えば生命の営みや社会の発展は反脆さに近しい存在であり、また、積極的に不確実性を受け入れていく世界観へと繋がっていきます。
肘にヒビが入る脆さを経験した中、私もタダでは起きないしぶとさを身に付け頑張ろうと思いました。原著から5年経っての翻訳となり、また、タレブの他作品同様に、なかなか分量がありますが読みごたえがあります。

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Money20/20のツアーを催行します。日程は10月22~29日です。
人数に限りがありますので、ご関心ある方は早めにご連絡ください。

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