“Future of Finance”に対するBOEの回答

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昨年末から、BOEが遂行すべきアジェンダと提言をまとめた “Future of Finance”を3回にわたりご紹介しました。これを受けたBOEは、2019年6月にその回答を示すレポートとして “New economy, new finance, new Bank”を発表しています。

BOEによる優先順位の高い5つの分野

英国の個人やビジネスに向けて、より革新的かつ強固で競争力ある決済システムの構築を支援

・個人及びビジネス向け決済は国際間取引を含めて、より安価で瞬時に行え、シームレスなものとなります

・2020年に決済サービスがBOEのインフラとバランスシートへのアクセスすることの協議を行うほか、通貨の未来に関するフォーラムを設立します

・BOEは英国財務省による決済機能戦略のレビューに深く関与し、英国内の金融においてリーダーシップを発揮します。イノベーター、企業、政策立案者、プロバイダー同士の連携を推進し、FCA(金融行為規制機構)、PSR(決済システム規制局)および関連する規制当局とともに英国財務省が主導する決済規制の見直しを推進します

・他国の中央銀行と連携し、高額決済システムが異なる通貨間の即時決済を実現できるか検討します

②中小企業向けの金融サービスと個人向けの金融サービスの選択肢を増やすためのプラットフォームの構築支援

・BOEは220億ポンドに上る中小企業の資金不足の解消に向けて支援します

・移転や共有が可能な信用履歴の展開を可能とし、中小企業が多様かつ競争的な資金調達の選択肢を手に入れ、国際貿易を含めてそれを用いることができるようにします

・英国政府が発表した「Smart Data Review」に対応し、データ標準とテクノロジーが、資金調達のオープンプラットフォーム化を推進することや、個人やビジネスに幅広い選択肢と低価格化をもたらせるよう、提言を行います

・BOEの新たなRTGSサービスにおいてLEI(法人識別子)の利用を義務化し、LEIをグローバルに用いられる規格として推奨します

③低炭素経済に向けた秩序ある移行を支援

・金融産業では、リスクを管理しつつ移行機会を捉えられるようにサポートします

・2021年に金融機関へのストレステストを実施し、気候変動リスク管理の主流化を支援します。また、低炭素経済へのシナリオ設計を明確にするため、2019年秋にディスカッションペーパーを発行し、気候金融リスクフォーラム及び気候変動リスク等に係る金融当局ネットワークを通じて業界や関係当局と協力します

・気候変動リスクと移行の機会に関するより有益な情報を提供するため、英国の金融機関と企業によるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準じた開示を継続的に要請する必要があります。2022年までにすべての上場企業と大規模な投資機関にこれらの情報を開示を求める予定です

・気候変動リスクへのBOEのエクスポージャーとそれらを管理するアプローチに関して、自ら透明性向上の事例となり、独自の二酸化炭素排出量を削減するためのベストプラクティスを採用します

④世界標準のregtech及びデータ戦略を実行

・英国内で20億~45億ポンドと推計される報告負担が大幅に軽減されつつ、監督機能の強化によってシステムの安全性が向上します

・銀行、保険会社及び市場インフラと協議し、レビューの作成を行うことで今後10年間の規制データの保管と取り扱い方を検討します。このレビューでは、業界の負担を軽減し監督の判断を支援するデータの適時性と有効性を高める方法を模索します

・今後1~3年で銀行のデータ利用の改善策を特定した上で、同業分析のための優れたツールの実装を行い、規制と監督のために機械学習とAIの活用を促進します

・POCを行った上で、今後3年間で暫定的な改善スキームを提供します。例えば市場監視のために複数のデータソースを統合し、新しい会社の承認プロセスの一部を自動化します

・また、運用の簡素化を目的としたPRA(健全性規制機構)のルールブックの機械可読化を今後3~5年で完了させます

⑤クラウド及びその他の新しい技術のレジリエンスと利用促進

・金融システムはより安全かつ効率的になり、レジリエンスを損なうことなく利用者のコスト削減を実現します

・2019年に声明を発表します。PRAのアウトソーシングの取り決めに関する現代化されたポリシーフレームワークについて説明しつつ、クラウド技術に焦点をあて、企業が安心して利用できる条件を示します

・ポスト・トレードに関するテクノロジーを担う事業者のパネルを招集し、効率性改善とレジリエンスを追求するエコシステムを実現する方法を探ります

・AIに関する官民合同のワーキング・グループを設立し、基本原理とガイダンスがAI技術の節度ある普及をサポートするものとなるかを調査します

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