VISAによるPlaidの買収

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VISAは今年の1月13日、米国で口座接続ソリューションを提供するPlaidを53億ドル(約5800億円)で買収すると発表しています

Plaidは、消費者と金融業の間に位置する中間的事業者に向けて、金融機関口座の情報参照や決済機能等にアクセスするためのAPIのインフラを提供しています。

米国内では類似のサービスを行うプレーヤーとして、 Envestmentの子会社 “Yodlee”や”Finicity”などがいます。各社ともに財務管理や決済、融資を行う中間的事業者向けにAPIを提供していますが、Plaidは同市場の8割の利用度を誇るものとみられています。

PlaidのAPIを利用する具体的なサービスとしては、送金・決済サービスのVenmoやTransferWise、投資分野ではRobinhoodやAcorns、暗号資産取引のCoinbaseなどが挙げられます。2億口座を越える連携が行われており、人数ベースでは4人に1人が利用しており、11,000以上の金融機関や2,600社以上の中間的事業者がPlaidのAPIを利用しています。

VISAは買収の理由として、①国内外の新規マーケットへの参入、②フィンテック事業者に向けた決済サービスの高度化・付加価値増、③フィンテック事業者に元々提供しているインフラをより網羅的なカバレッジとできることを挙げています。Plaidはこれまで米国やカナダを中心に展開してきましたが、近年は欧州や英国の金融ベンダーにインフラを提供し、サービス提供の範囲を広げています。VISAは今後、カードブランドとして決済以外の領域でも複数国の新規マーケットに参入でき、結果として提供するインフラの総合的な付加価値が高まるものとみられています。

(出所) VISA/ “Visa’s Acquisition of Plaid”/2020年01月13日

2018年12月に行われたPlaidのシリーズCの2億5,000万ドルに上るラウンドをVISAやMastercard、Citibankなどから受けており、各社は「戦略的投資」であるとコメントしていました。今回VISAが買収に踏み切ったことで、Mastercardはその枠組みからは外れた形となります。VISA社のプレスリリースでは、ペイパル及びJPモルガンによる統合への賛意を示すコメントが寄せられている点も少し異色かもしれません。

今後、新規サービスの共同開発という点ではPlaidの決済処理や本人確認基盤を利用した決済インフラの提供を進めることが考えられます。VISAが得意とするBtoC決済、Plaidのインフラを用いたP2P送金サービスなどが合わさって提供されることで、どのようなユースケースが生まれていくものか、今後が注目されます。

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