M-PesaのVISAとの提携

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

ケニアでモバイルマネーサービス “M-Pesa”を提供するsafaricomが5月1日、VISAとパートナーシップを提携したと発表しています

M-Pesaの顧客は、ケニアやタンザニアなどのアフリカ地域で2,700万人、加盟店は260,000店にのぼりますが、VISAのグローバルネットワークに参加することで、個人間送金のみでなく、約200カ国以上での加盟店での決済を可能とする道が開かれます。

ケニアにおけるM-Pesaの運営元であるsafaricomのリリースによると、今回の提携はM-Pesaを用いた決済サービスの開発を目的としており、国際的な取引の障壁を下げ、安全なモバイル決済ソリューションを提供することができると述べています。

また、safaricomのCEOピーター・ンデグワ氏は「safaricomとM-Pesaはアフリカ全土で何百万人もの生活を変革することができ、ケニアをモバイルマネーのリーダーに位置づけることができたと考えている。ケニア政府はキャッシュレスやオンライン決済への注目を高めており、今回の提携によってサービス提供を拡大できることを嬉しく思う」と述べており、今回のVISAとの提携は、M-Pesaにとって国外での利用をサポートする取組の一環と考えることもできます。

世界銀行の統計によると、ケニアの口座保有率は2017年時点で81.57%で、周辺国のタンザニア(46.75%)、ウガンダ(59.2%)などのアフリカ諸国と比較して高いことで知られています。2011年時点でのケニアの口座保有率は42.34%であったことからもM-Pesaの登場によって、同国の金融包摂は急激に進んだと言えます。

(世界銀行: ケニアにおける金融機関及びモバイルマネーアカウント保有率に関する統計を基に作成 )

2006年時点では既存銀行の口座保有率は14%ほどであったことに鑑みればこれは大きな進歩です。CGAPの報告では2015年以降、銀行口座の保有者数がモバイルマネーアカウントの保有者を再び上回る結果となっている中、M-Pesaが切り開いた金融包摂に向けた動きを、銀行が補強し、やがて追い抜くような様相がみられていました。今回の提携を機に、再度モバイルマネー側が勢いづくのかが注目されるところです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。