5月6日にAmerican Bankerは、中小企業支援ローン(PPP)を提供する銀行が事務処理や顧客対応の体制整備を自ら行う必要があるなど、運営上の課題に直面していると報じています。
PPPは、4月3日に定められた予算枠を超える申請があり、2回目の提供が5月8日まで行われていました。中小企業庁(SBA)のレポートによると、これまでに約420万件、累計5,300億ドルの融資が実行されており、貸し手としては民間の銀行の割合が最も高く、全体の約80%を占めています。ただ、1回目のローン申請から実行の際、特に地方銀行では事務処理に時間を要し、迅速な支援を行う点で課題が残されていました。
(引用: SBA発表 “SBA Paycheck Protection Program Loan Report Round 2” )
米国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー委員長は、「PPPは中小企業への支援策としての効果を発揮している。3回目のローン提供を視野に入れ、第2回の募集時、融資実行までにタイムラグが生じたという反省を活かし、早急に検討すべき」と述べています。
貸し手は早期のローン提供が求められている一方で、地元の銀行として融資申請を多数受け入れるだけの体制が十分に整備できないという問題を抱えています。
申請の窓口である銀行は、米国財務省のガイドラインに基づいて独自の運営体制をとっていましたが、第1回のローン提供の期限終了近いタイミングになってローン承認の優先順位といった事項へのガイドラインが加えられ、対応に追われる事態となりました。
今後、仮に3回目の募集が行われた場合、さらなるガイドラインの変更があれば、再度貸し手は変更内容に対応する必要があり、銀行が要件を充たした貸出を行うには依然として時間がかかってしまうのではないかとの見方があります。
他にも、申請書の正確性やマネーロンダリング対策など、早期かつ金融機関の安全性を確保した上でのローン提供が求められています。また、PPPの規則によれば、申請の先着順にローンの提供を行うことが求められていますが、複数の窓口からの申請をどのように公平に処理するかという問題も業界内で議論されています。
PPPは既存の銀行だけでなく、オンライン貸金業やフィンテック企業などが貸し手として参加する企業支援プログラムですが、借り手に向けてスムーズな融資実行を行うために、どのような変化がみられていくのか注目されるところです。