国法銀行化を目指す米Varo Money

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米国のネオバンクであるVaro Moneyが6月3日、シリーズDで2億4,100万ドルの調達を行い、ネオバンクとして初めてOCC(米通貨監督庁)による国法銀行の免許取得に向けた最終調整を行う旨を発表しています

Varo Moneyは2015年にカリフォルニアで設立され、The Bancorp Bankの銀行インフラを用いるネオバンクです。同社はこれまで口座開設とデビットカードを発行することで家計管理や決済サービスを提供してきましたが、国法銀行の免許を取得することで米国全土でクレジットカード、ローンなどの融資商品や幅広い預金商品の提供が可能となります。

同社の口座サービスの特徴は、口座維持費、当座貸越サービス、ACH送金手数料などを完全無料で提供していることが挙げられます。その他にも残高制限やATM手数料を設けない事でアンバンクトや若年層を中心に利用者を広げ、2020年6月時点で累計で約200万口座を提供しています。

(引用: Varo Money公式ページより)

今回の資金調達の発表に際し、Varo MoneyのCEOであるコリン・ウォルシュ氏は「米国初のモバイル専業のデジタル国法銀行として、我々は金融包摂を推進すべく、今回の資金調達を銀行免許取得の完了に活用する。現在、人々が直面しているあらゆる経済的課題に向けて、Varo Moneyは利用者の資産の管理と金融に対するストレスを軽減すべく引き続き取り組む」と述べています。

同社は2017年以降、The Bancorp Bankのインフラを用いて顧客に口座を提供するネオバンクとしてサービスを開始し、2020年2月に国法銀行として預金口座を提供することを見据え、FDIC(連邦預金保険)の認定を受けています。国法銀行免許の取得に踏み切った背景として、米国全土において消費者の金融サービスのニーズにより迅速に対応できること、ミレニアル世代をターゲットにした戦略の強化に狙いがあるとみられています。

Varo Moneyの他にも、2020年3月にSquareが連邦預金保険の承認を受け、2021年を目処に“Square Financial Services”というネオバンクサービスを開始することを発表しており、今後、OCCによる国法銀行の免許(national charter)取得に踏み出すという見方もあります。

Varo Moneyのようなサービス規模を拡大させたネオバンクが、デジタルな国法銀行として銀行業に参入することは、従来からある上下分離の進化系として、アプリケーションサイドからインフラ側を提供しにいく新たな動きといえ、今後が注目されます。

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