米SoFiによる国法銀行免許の申請

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WSJは7月10日、SoFiが7月8日にOCC(通貨監督庁)に国法銀行免許(national bank charter)の申請を行ったと報じています

SoFiは、学生の教育ローンをソーシャルレンディングを活用し、借り換えローンの提供をするオンライン・レンダーです。2020年までに累計25億米ドルを調達しています。

同社のサービスの特徴は、AIによるビッグデータ解析に基づき、借り手の学歴、キャッシュフロー、公共料金の支払履歴などから支払い能力の高いと判定される人物の絞り込みを行います。その上でローンを提供することで、貸し倒れリスクを下げ、貸し手の需要を高めたソーシャルレンディングサービスを提供する点です。

その他、一般的なソーシャルレンディングや連邦政府が運営する教育ローンとの差別化として、全米の有名大学や特定の大学のOBから融資資金の提供を積極的に行い、低金利で借り手の学生にローンを提供し、貸し手と借り手の間に弱い同窓の繋がりを持たせていることも特徴といえます。

(画像: SoFi公式サイトより引用)

SoFiの直近の動向としては、2020年4月に12億米ドルでユタ州のネオバンク “Galileo”を、香港の投資アプリやウェルスマネジメントサービスを提供する “8 Securities”を買収しています。また、2020年5月にSamsung Payとの協業で、決済カードの発行とモバイル上の家計管理サービスを提供すると発表しており、協業の背景には、Apple Payとの競合が視野にあるという見方もあります。

同社が銀行免許の申請を行ったのは今回で2回目で、前回は2017年にユタ州法によって、業務の提供範囲が州内に制限されている州法銀行の免許申請を行っていましたが、社内トラブル等を理由に申請を撤回しています。

前回の州法銀行から国法銀行の免許申請に切り替えた理由については明らかにされていませんが、①国法銀行の免許取得により、全米での銀行業務が可能となることで資金及び手続上のリスクを低減できること、②2018年以降、決済サービスプロバイダーの “Galileo Financial Technologies”の買収や、P2P保険を提供する “Lemonade”、デビットカード発行において“Bancorp Group”との協業を行うなど、全米での金融サービスを提供を以前から見据えていたのではないかと考えられます。

仮にSoFiの国法銀行化がOCCにより正式に承認されれば、学生ローンのソーシャルレンディング以外においても、幅広く銀行業務を行うことも可能となります。同社の競争力の源である、優良な顧客基盤に向けた満足度の高いサービスの拡大が、免許取得により加速されるのかが注目されます。

(タイトル画像: SoFi公式サイトより引用)

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