
そのような状況下、Puddleという会社が新しい借入方法を生みだし、金融リテラシー向上を目指す米国NPOの主催するコンテストで入賞しています。
その方法は「友人から借りる」というものであり、目新しさはありません。しかし、友人間の貸し借りには、抵抗を持つ方も多いでしょう。
Puddleでは、この問題を「友人グループで一定額を積み立てつつ、その数倍を借りる権利を付与する」という仕組みで解決しようとしています。
ユーザーはまず、一定額をPuddleに払い込むことで、その額の5倍の借入れをおこなう権利を得ます。
そして、自分の「信頼する仲間たち」(Trust Network)との間でグループを作ることで、借りることができる金額は更に多くなります。冒頭の絵のように、当初200ドルしか借りれなかった人も、仲間を集めることで数千ドルを借りることが可能となります。
返済は3ヶ月から6ヶ月の間となり、一定の手数料(1%程度)は発生するものの、金利を支払う必要はありません。
そして、ユーザーが延滞した場合にはネットワーク内の人たちが知ることとなり、支払不能になってしまった場合には、ネットワーク内の人たちでその損失を負担するという構造となっています。
勿論、延滞中のユーザーは新たなユーザーを招いたり、新規の借入れをおこなったりすることはできません。
以前ご紹介したVouchと異なるのは、Vouchが「いざとなった時に借金の肩代わりを頼むことができる」友達同士で保証しあうサービスであるのに対し、Puddleはグループの参加者それぞれが、あらかじめ出資をおこなうところです。
プール金があることで、企業はより積極的に貸し付けをおこなうことができ、友人グループはその分リスクを負うことになります。
いわば、信頼そのものを金銭的価値に置き換えているような側面もありますが、金融リテラシーが高い一方で所得レベルの高くないミレニアル世代にとっては、このような借入れが一つの解決策となっているようです。
このようなマーケットが生まれている背景には、個人向けクレジット市場のニッチが、まだまだ大きいことがあるのかもしれません。また、新たに信用創造を「友人」や「信頼」から得られることが、Fintechにより明らかになってきたからかもしれません。
とりわけ、米国では銀行からの借入れが難しい場合に、超のつく高金利であるペイデイローンといった手段しかないケースも多いことを考えると、Puddleが現実的な打開策となってきます。
奇想天外に見えるベンチャーではありますが、Puddleのシード投資家の中には、グーグルベンチャーズや、アンドリーセンホロウィッツ等、超大物投資家の名前が並んでおり、今後の大型成長が期待されます。
※画像はPuddle社ウェブサイトより