良いお年をお迎えください(2020年)

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本年も大変お世話になりました。

今年は、現下も続く感染症危機に対して、個人として、組織としてどう振る舞うべきかを厳しく問われた1年間であったと思います。20年分くらいの進展が見られた分野もあれば、10年後には良くも悪くも分水嶺といえそうな政策もありました。組織として、またいち個人として、大変ありがたくも様々な提言や検討に関わらせていただいた中、自分たちにできることは何だろうかと思い悩む日々でした。

そのような悩みにあたって結局立ち返ったのは、マネーフォワードが掲げる価値(Value)である「Fairness」と「User Focus」でした。特にFairnessは多義的な言葉ですが、レガシーの少ない立場であるからこそ、自らの立場を捨てて、すべての人にやさしく、社会を前進させる提言に徹することを肝に銘じた年でした。そんなに大それたことを言ってもいいのだろうかという気もしますが、成果が後世において丁寧に理解されると信じながら、来年も活動していこうと思っています。

発信系の活動報告

今年は、日経産業新聞(本誌電子版購読者の方はご覧いただけます)と日経クロステックでおよそ毎月、エッセイを書かせていただきました。また、感染症危機に対しては、三田評論で考えていることを掲載いただきました(自賛ですが、とても読んでいただきたいコラムです)。

専門誌ですがファンド情報でも「資産運用とテクノロジー」のコラムを数回寄稿させていただき、コモディタイズされつつある金融アドバイスに対して、オルタナティブ・アドバイスとは何かを書いております。ご関心ある方は入手の上ご覧いただけますと幸いです。

その他今年の重大ニュース等はこちらの記事をご覧ください。

研究所のブログは研究所2年目の合江さんに委ねながら、ともに銀行業の今後に関する内容を中心に海外の事例調査を重ねることができた一年でもありました。この分野に限らずではありますが、来年も価値ある発信をしていければと思います。

今年読んで良かった本

『スクエア・アンド・タワー』

要約してしまえば「コネ大事」という本ですが、特に意思決定や情報の距離と、社会のメカニズムを反芻するにあたってこの世の中を見通していたかのような、構造を教えてくれる一冊(いや、二冊)でした。人と人の間のDistancingであったり、ネットがもたらす情報の距離がどのような帰結を持つのか、それぞれの意味を考えるきっかけとなりました。

『Call Sign Chaos』と『A Promised Land』

米国におけるリーダーシップのトップがそれぞれ、生き方や考え方において思いのほかピュアで一本筋であることを感じる内容でした。必ずしも対比できる文献ではないですが、軍人としてのジェームズ・マティス氏と、リベラルな大統領としてバラク・オバマ氏それぞれの立場から、アフガニスタン戦争の見方の差を知ったり、上記とはまた別ですが、『Becoming』のミシェル・オバマ氏との見ている世界の違いも大変興味深く思いました。

『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』

極論の実践と反証、成功者バイアスに負けない勢い、人間の強さと弱さを見通した構造、からなる「強者の教科書」です。純粋に各エピソードが面白く、あらゆる人と感想を言い合いたい一冊。

来年もよろしくお願いします

唐突に引用するのですが、私の恩師が「失われた十年ではなく、すでに衰退の百年に入った」という言葉を発してから20年ほどが経ちます。2020年末の現在、日本は20年分くらいのデジタル化を取り戻そうという機運にありますが、100年の衰退をもたらす諸要因との本源的解決に向けて、それがどこまで役に立つのか。テクノロジーの社会的価値が試されていると思っています。

その期待値に対して、高すぎずも低すぎない、中立的な提言主体として、活動していければと考えておりますので、来年もどうぞよろしくお願いします。

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